ライフスタイル

Make a good Life!vol.3|家具も用途も変幻自在!「自分が楽しむ」から「みんなで楽しむ」共有型バンライフへ!(足立昭博さん)

目次

理想の暮らしとはどういうものでしょうか? その答えは、あなたが何に価値を見いだすかによって異なります。暮らしの多様性に着目し、一歩先のライフスタイルをさぐる企画「Make a good Life!」
自由な発想で自分らしいライフスタイルを実現する人たちを取材し、新しい価値観と選択肢をご紹介します。

第3回は、足立昭博さんの「バンライフ(VANLIFE)」です。
バンライフとは、車(バン)を生活の中心に取り入れたさまざまなライフスタイルを指します。その定義は幅広く、完全にバンの中で生活する人や、家を持ちながらときおり車中泊をする人、バンを友人との交流の場にする人など、多様な楽しみ方があります。

足立さんのバンライフは、鮮やかな黄色と曲線のフォルムがかわいいキャンピングトレーラーのRoomette(ルーメット)を活用したもの。「内装はどうなっているのか?」という好奇心を抑えきれません。自分だけではなく、みんなと共有するバンライフをつくろうとしている足立さん。さまざまな用途で楽しめるバンライフの魅力とともに、今後の展望についてお話しを聞きました。

1.きっかけは「新しい暮らし方」を実現する人々に出会ったこと

DIYされたRoomette仕事で関わった企画を通して、新しい暮らし方について考える機会に恵まれた足立さん。過去に3回の転勤を経験しましたが、定住生活にリアリティを感じなかったといいます。そんななか、多様なライフスタイルを発信しているメディアで、バンライフを送る人たちのことを知りました。

彼らはバンやDIYした大型バスを移動オフィスや住まいにしていました。そうした自由な働き方、暮らし方があることを知り、心を動かされました

そういった暮らし方を実践する人々と出会い、直接話を聞くうちに「自分も移動可能な空間を所有したい」と思うようになったそうです。購入を決断したのは、心を動かされるキャンピングトレーラーとの出合いがきっかけでした。

Roomette(ルーメット)は、曲線的なフォルムが魅力

CROCO ART FACTORY社のRoomette Long足立さんのキャンピングトレーラーは、CROCO ART FACTORY(クロコアートファクトリー)社が製造販売する「Roomette Long(ルーメットロング)」。“小さな部屋”というコンセプトの小型トレーラーで、約10m2(約6畳)の広さがあります。

海外製の大型キャンピングトレーラーと比較して、Roometteは日本の道路事情や法律にも考慮してつくられています。小型で軽量のため、牽引免許の取得も必要なく、一般的な乗用車で牽引することが可能です。Roometteの一目見たら忘れられない特徴的な形は、キャンピングトレーラーに対して足立さんが抱いていた印象を大きく変えました。

多くのキャンピングカーやトレーラーに共通している、無骨なデザインが好きになれませんでした。一方で、Roometteはコロンとした丸みを帯びています。Roometteと一緒に移動したらわくわくした暮らしが実現できると、直感的に思いました

キッチンやシャワーを備えたキャンピングトレーラーもありますが、足立さんのRoometteにある設備は最小限。あえて機能をシンプルにすることで、スペースに余白を残しています。

大きさに余裕のあるトレーラーのほうが、仲間と一緒に多様な使い方ができます。どんな使い方にも対応できるように、余分なものは置かないようにしています

2.バンライフの魅力はどこにでも自分の空間を持っていけること

足立さんとルーメット足立さんのバンライフは、バンの中で生活するというより、生活空間とは別に自分の部屋を持つという感覚です。

どんな場所にも自分の空間を持っていけるのは、『戸建てやマンションでは実現できない』魅力です

Roometteは、やってみたいことを試せる実験場のような役割も担っています。

自分だけでなく、みんなと一緒に空間を楽しむことにも挑戦してみたいです。例えば、映画館として利用するのも楽しそうですよね

琵琶湖の湖畔で仕事をしながらの週末

Roometteにのって琵琶湖で仕事

琵琶湖の湖畔までRoometteを牽引していきました。休日でしたが、バンの中で仕事をしたり、読書を楽しんだりしました。家で机に向かうよりも仕事が効率よく進むし、いい気分転換にもなりました

窓から見える景色は、人の気持ちに大きな影響を与えます。足立さんは、移動することで好きな景色を見ることができるバンライフは、このうえない贅沢だと話してくれました。

苦労したのは移動の道選びと駐車場探し

牽引して移動する際、カーナビで案内された道が細くて通れないこともあったそうです。

トレーラーを牽引して移動するときは、道順や道幅などの入念な下調べが大事です

Google mapのストリートビューで、道幅が狭そうな道路の状態をあらかじめチェックしたり、鋭角な曲道は避けるなどの工夫をしています。
また、トレーラーを所有する人にとって、悩みの1つに挙がるのは駐車場選びです。

トレーラーを牽引して駐車するには、一定のスペースが必要です

日本RV協会(JRVA)は、道の駅やサービスエリアなどの公共駐車場にトレーラーを放置して、ヘッド(牽引してきた自動車)のみで長時間遠出しないよう呼びかけています。
同協会では、牽引車に限らずキャンピングカーでの車中泊について、「公共駐車場でのマナー厳守10ヵ条」をまとめています。また、車中泊者が安心して使用できる場所としてキャンプ場を推奨しているほか、協会が認定した車中泊施設RVパークの情報も発信しています。

車で旅をする人も旅行先の住民も気持ちよく過ごせるよう、駐車場を選ぶ際に配慮することが大切です。

3.内装は「トランスフォーム」!用途に応じた使い方を楽しむ

足立さんのルーメットの内装足立さんはキャンピングトレーラーの内装をDIYしている人たちから影響を受け、完成されたものを購入するよりも「自分でつくるほうが面白い」と考えました。

Roometteは、スケルトンの状態(内装設備がない状態)で引き渡してもらいました。スケルトンのメリットは、内装や設備を自由にいじれることです

内装はすべて、足立さんがDIYしました。手間と時間をかけて丁寧につくったものには愛着を持ちやすいです。つくった人の個性がにじみ出るところも、DIYの魅力の1つです。

自分だけの空間だけでなく、みんなで楽しめるようにしたかったんです。限られた空間を多くの人と共有するには、用途に応じて変形できる家具が最適だと考えました
DIYした家具はベッド、棚、テーブルです。どれも自由にトランスフォームできます

まずは、みんなが集まった際にくつろげる場所として、ソファベッドをDIYしました。次はお気に入りのアイテムをディスプレイする収納棚。最後は仕事机にもなるテーブルというように、用途とシチュエーションをイメージしながら徐々につくっていきました。

シーンに合わせ空間を作り変えられるソファベッド

変形するソファベッドベッドから変形したソファスライド式のベッドは、最大まで広げるとダブルサイズになります。壁面に寄せて畳み、クッションを置けばソファに変身。ソファの下には、荷物をしまっておくこともできる優れもの。変幻自在にトランスフォームする家具のおかげで、室内を広く使えるだけではなく、利用人数や様々なシーンに合わせ空間を作り変えることができます。

クッションはスポンジと布を購入して、ミシンで縫いました。ベッドの下には、小さな収納スペースがあります

シアターにもなるロールスクリーンを取り付けた収納棚

ロールスクリーンを取り付けた収納棚収納棚には、白のロールスクリーンを取り付けました。上から引き下ろすと映写用のスクリーンとして使えます。ロールスクリーンは、「移動先で映画を見たい」という足立さんのビジョンを実現するためのアイテム。
取り付けたシアター

実際、移動先で映画を見るには電力が必要です。実はまだ、電力の問題が解決できていなくて…。大容量のバッテリーを持ち込もうかと考えているところです

仕事机としても使えるダイニングテーブル

仕事机としても使えるダイニングテーブル仕事机仕様変形ダイニングテーブルを収納中央に置かれた広いテーブルは、食事はもちろん、工作などの作業にも向いています。1人で仕事や読書をするときは、半分に折り畳んで移動させデスクとして使ったりすることもできます。使わないときはコンパクトにまとめて収納できるので、必要に応じて広い空間を作ることができます。

LIFULL Fabで行ったDIY

LIFULL Fabに設置されたRoometteDIYをするにあたり、足立さんは「LIFULL Fab(ライフル ファブ)」を利用しました。3Dプリンターやレーザーカッターなど、さまざまな機材を使うことができるDIY工房で、気軽にものづくりを楽しめます。

何をつくりたいか発想するところから作製まで、ほとんど自分で行っています。そのため、つくりたいものによっては難易度が高いです

例えば、「美しい曲線の家具をつくりたくても自分ではつくれないから、工作レベルに合わせてある程度レベルを落とさざるを得ない」ということが起こってしまうと足立さんは指摘します。そんな悩みを解決してくれたのが、LIFULL Fabで利用できる便利な機械でした。

理想のデザインを形にするために、足立さんは主にShopBot(ショップボット)という大判の木材を切削してくれるCNCマシンを使いました。ShopBotは、データを元に、木材の曲線加工や切り抜きを行ってくれる機械です。
LIFULL Fabに置いているShopBotものづくりには、発想・設計・作製という3つの段階があります。ShopBotのすごさは、作製の段階を、簡単、スピーディーかつ正確にこなせる点にあるのではないでしょうか。ShopBotがあれば、アイデアを高い精度で具現化できるため、発想や設計の自由度が格段に上がります。
車内をDIYをする足立さん今後は、デッドスペース化してしまっているバンの側面を有効活用していきたいと話してくれました。壁にレールを取り付けて、様々なアイテムをレイアウトできるようにするといった案を考えているそうです。

車内の家具には軽い素材を使用

車内の家具には軽い素材を使用移動するという性質上、バンに載せる家具には軽さが求められます。これまでは色合いやテクスチャーを重視して家具を選んでいましたが、それに加えて、軽さや手入れのしやすさやなど様々な視点から素材を選んでいます。

4.バンライフの苦労や楽しさはかけがえのない体験

バンライフ実現までにかかった費用と必要な公的手続き

洗練されたデザインの内装

Roometteの購入にかかった費用は300万円ちょっとです。家具はすべてDIYなので、材料費の15万円程度で抑えられました。そのほかには、牽引するためのパーツ代と取り付け費用が合わせて10万円程度。その他のインテリアなども合わせて350万円くらいでしょうか

大型のトレーラーを牽引するためには牽引免許が必要ですが、Roometteは重量が750kg以下なので牽引免許がなくても牽引できます。ただし、牽引する自動車の公的手続きとして、牽引登録(950登録)をする必要があります。

あまり知られていないかもしれませんが、牽引しながら高速道路を利用するには、牽引装置の有無についてETCのセットアップの変更が必須です。そうした細かい情報がなかなか見つけられなくて、当初はとても苦労しました

高速道路を利用してRoometteを移動させているときの様子

高速道路でRoometteを移動させる

新しい暮らしを実現したい人たちのきっかけになりたい

インテリアがきれいに配置されたルーメットの車内足立さんは今後、自分のRoometteを人に貸し出して、いろいろな用途に役立ててもらうことを考えています。また、自分自身もRoometteを活用して新しいライフスタイルへの挑戦を続けていきたいと言います。

僕の活用法やRoometteを貸した人の使い方を見て、『こんな暮らしっていいな』と、憧れの気持ちを抱いてもらえたらうれしいです。その憧れがきっかけとなって、新しい暮らしを実現したい人や、バンを活用して何かに挑戦したい人がもっと、もっと増えてほしいです

ミュージックストアの出店に利用こちらの写真はイベントにミュージックストアを出店したいという人に活用してもらった様子です。

バンライフを始めたばかりの足立さんですが、普通の生活では得られない体験の連続だと話します。新しい発見はもちろん、想定外のトラブルも含めて楽しむのがバンライフの神髄。バンライフに興味がある人には、「心配や不安はさておき、大きな気持ちでとりあえず踏み出してほしい」という熱いメッセージをいただきました。

5.内装も用途も変幻自在!みんなでシェアする共有型バンライフ

足立さんのバンライフは、キャンピングトレーラーを自分の空間として使うだけではなく、ときには仲間とシェアしながら楽しむ「共有型のバンライフ」。バンライフと一口に言っても多様なスタイルがあるのだと実感します。

Roometteの見た目のインパクト、どんな用途にも対応できる自由な内装、トランスフォームする家具など、足立さんのお話は驚きの連続でした。
自分だけの空間をつくりあげる過程として、ものづくりを満喫している様子も印象的で、こちらまでわくわくしてきます。新しい暮らし方を実践するには、視点の切り替えや柔軟な思考が不可欠なのかもしれません。

■プロフィール
・足立昭博さん
・Instagram:@hiho8120
※足立さんのRoomette の愛称は「hi-ho」とのこと
・バンライフ:始めたばかり
・家電メーカー勤務の会社員