なにかに夢中になっている人は魅力的です。たとえそれがいき過ぎた愛だとしても。
抑えきれない愛を詰め込んだ部屋にお邪魔して、その人のこだわりのライフスタイルを探る企画「あの人の偏愛部屋」。
第10回はash_modelerさんの「プラモデル愛が過ぎる部屋」です。木のぬくもりあふれるガレージの一角に、プラモデルの作業スペースがあります。作業机の上には、つくりかけの作品に加えて、所狭しと並ぶ色見本や工具。壁に取り付けられた棚には、完成品がいくつも飾られています。
プラモデルを一つひとつ丁寧に仕上げるash_modelerさんは、部屋づくりにも愛をこめてじっくり取り組んでいました。「プラモデル部屋自体がプラモデルのよう」と笑うash_modelerさんに、プラモデル愛を語っていただきました。
1.きっかけは誕生日にもらったプラモデル
ash_modelerさんが初めて手にしたのは、ガンダムのプラモデルでした。小学1年生の誕生日に、お父さんからプレゼントされたそうです。ash_modelerさんのお父さんも手先が器用な人で、自動車のプラモデルを趣味にしていました。
お小遣いで初めて購入したプラモデルは、誰の手も借りず一人で仕上げました。そのため、いつでも目に入る作業机の上に飾っておくほど、思い入れの強い作品です。
プラモデルの魅力は思い描いたイメージをそのまま形にできること
ものづくりの仕事をしているash_modelerさん。プラモデルの魅力は「締め切りがなく、自由度が高いこと」だと話します。仕事には期限や制約がありますが、プラモデルの制作においては好きな時間に好きなものを、好きなようにつくることができます。
2.自分の頭の中を体現したプラモデル部屋
賃貸物件に住んでいた頃は、居住空間にプラモデルを置くしかありませんでした。そこで、この家を購入する際、念願だったガレージ兼プラモデル部屋をつくりました。家族と共に暮らす居住空間とガレージはドアでつながっていて、外に出ずとも自由に行き来できます。
部屋の完成には1年ほどかかりました。それは、部屋づくりをしていく過程で気に入らないと感じた部分をその都度修正しながら、徐々に仕上げていったから。何度も修正できる点はプラモデルづくりと似ている、とash_modelerさんは熱く語ります。
ash_modelerさんは作業を効率よく進められるよう、定期的に部屋のレイアウトを変えています。最近は、作業机を2ヶ所に配置し、塗装エリアと工作エリアを分ける試みを始めました。
工作エリアと塗装エリアを分けたことで、塗装した作品が乾燥するまでの時間を有効に使うことができます。
作業机の工夫
塗装エリアは、約2畳とコンパクト。プラモデルづくりに使用する工具は小さいので、場所を取りません。空間を広くとって無駄な動きを増やすより、必要最小限のスペースで、手の届くところに工具を置くほうが効率的だそうです。
作業机の周辺には、制作途中の作品や完成したばかりの作品が並びます。手が届く場所に置くことで、すぐに塗り直せる環境をつくっています。
換気扇を利用してDIYした塗装ブース
「あるものを上手に使う」ことを心がけているash_modelerさん。塗装ブースは、ガレージの換気扇をうまく利用したDIYです。写真の中央にある換気扇の周囲に段ボールを取り付けるという斬新なアイデアで、機能的な塗装ブースをこしらえました。
壁のDIY
エアガンが飾られている壁には1×4材をash_modelerさんが取り付けました。もう片面の壁はOSB合板になっていて、こちらは工務店さんにお願いしたそうです。
ディスプレイ棚のDIY
ディスプレイ棚には1×4材を切ったものを使用しています。切り口はあえてやすりがけをせず、切りっぱなしにするのがこだわり。ash_modelerさんは、細かいところまで手をかけ過ぎない、手づくりっぽさが感じられる部屋が好きだと言います。
ディスプレイ棚のこだわりとして、ash_modelerさんがもう1つ挙げたのは、棚の高さに余裕を持たせること。プラモデルの高さぴったりに棚をつくってしまうと、実際にプラモデルを飾ったときに棚板の影が落ちてしまうからです。
3.お気に入りの場所は部屋を見渡せる作業椅子
好きなものを詰め込んだこのプラモデル部屋はどの場所もお気に入りだそうですが、「あえて選ぶなら……」と迷いながら、いつも座っている作業椅子を挙げました。
使いやすいようカスタマイズした道具
ash_modelerさんがプラモデルづくりに使用している工具の一部分です。プラモデルをつくる人は工具にこだわりを持っているため、カスタマイズすることも珍しくないそうです。
左の写真は「きさげナイフ」と言い、プラスチックの合わせ目や突起を削る際に使用する工具です。ash_modelerさんは鋼鉄製のやすりを削り、強度の高いナイフに仕上げました。
右の写真は、木工職人さんにワンオフで制作して頂いた、一点モノのデザインナイフです。黒柿や緑檀と言った銘木の素材を使用しています。
ミニドリル、バイス、パイプカッター、ペイントミキサー、ノギスなど、市販の工具です。
4.インドアとアウトドアの両輪がベストバランス
ash_modelerさんは、平日なら仕事が終わった後の2時間程度をガレージでのプラモデルづくりに充てています。休日ともなると、半日こもって作業することも珍しくないそうです。
ガレージにはプラモデルの工具以外にも、アウトドア用品も置いてあります。ときにはサバイバルゲームやキャンプに出かけることもあるそう。自然の中で体を動かしながら、インドアとアウトドアのバランスを取っています。
プラモデルを通して広がる人の輪
プラモデル作品をInstagramで紹介するようになってから、同じ趣味を持つ仲間が増えたそうです。
作品づくりに打ち込めるよう、ash_modelerさんのプラモデル部屋はますます進化していきます。
■プロフィール
ash_modelerさん
Instagram:ash_modelerさん
会社員(車関係)
栃木県宇都宮市
ファミリー