ライフスタイル

西部劇にのめりこんで60年!西部劇愛が過ぎる部屋|あの人の偏愛部屋vol.13

目次

なにかに夢中になっている人は魅力的です。たとえそれがいき過ぎた愛だとしても。
抑えきれない愛を詰め込んだ部屋にお邪魔して、その人のこだわりのライフスタイルを探る企画「あの人の偏愛部屋」

第13回は野村勤さんの「西部劇愛が過ぎる部屋」です。
広い敷地内に円錐形のティピー、コレクションルーム、そして野村さんが「オレゴンハウス」と呼ぶカウボーイ小屋の3つを構え、西部劇グッズを飾っています。10代から60年以上にわたって集めたコレクションは数百に上り、もはや自分でも把握できないほどの量になっているそう。「好きなものを好きな場所に飾る」というのが、野村さんのポリシー。そうすることで物同士が自然と馴染み、部屋の雰囲気をつくりあげてくれるとのことです。
レンガの壁や古い木、いぶし銀などのマテリアルのなかに、インディアンの原色が映える室内は、不思議な魅力に満ちていました。

1.きっかけは幼少期に見た西部劇の数々

西部劇を愛する野村さん野村さんの幼少期は、西部劇がはやっていた時期と重なります。テレビや映画で西部劇がたくさん流れている環境で、友人たちと毎日のように西部劇ごっこをしていたそうです。

麦わら帽子をカウボーイハットに見立てて、おもちゃのピストルを腰にぶら下げながら走り回っていましたね。僕の部屋づくりは、そういった遊びの延長線上にあります。だから、“西部劇ごっこ”愛だと思っています

数ある西部劇のなかでも、「荒野の決闘」や「黄色いリボン」などのジョン・フォード監督作品とマカロニ・ウエスタン作品は特に印象に残っているとのこと。作品のイメージがそのまま、現在の部屋づくりにつながっています。

西部劇の魅力は自由な気風

馬にまたがった主人公が荒野を疾走するシーンは、西部劇に必ずといっていいほど登場します。ジョン・ウェインは西部劇で活躍した俳優の一人です。少年時代、野村さんは彼の勇壮な姿に憧れを抱いていました。

馬に乗ったジョン・ウェインが、風を切って走る姿は本当にかっこよかったですね。同時に、自由な気風を感じました。“自由さ”というのが西部劇の魅力の1つに挙げられると思います

2.部屋づくりのキーワードは、「荒野」「ピストル」「馬」

西部劇に登場する「荒野」「ピストル」「馬」をキーワードにして、ティピー、コレクションルーム、カウボーイ小屋をつくった野村さん。丸太を立てて支柱とし、周囲に布を張って組んだティピーは、「荒野」で暮らすインディアンのイメージ。コレクションルームには、西部劇に登場する保安官が使っていた「ピストル」のモデルガンを中心に、さまざまなコレクションを置いています。「馬」に関連する道具は、カウボーイ小屋にまとめています。

実用的なティピー

実用的なティピーインディアンのなかには、移動しながら狩猟を行う部族がいるそうです。彼らはティピーと呼ばれるテントのような移動用住居で生活していました。

野村さんが敷地内に設置しているティピーは、インテリアとしてではなく、中で焚火もできる実用的なもの。上部が開いており、焚火の煙が頭上から逃げる仕組みになっています。
インディアンにとって、空に立ち昇る煙には特別な意味があります。それは、天なる父に、煙を通して自分たちの思いを伝えるというもの。野村さんもティピーの中で、焚火をしながら過ごす時間が好きだといいます。
幻想的な雰囲気のティピー

「ティピーは、知り合いのインディアン工芸家から譲ってもらった大事なものです。木を組み立ててつくる簡単な構造のため、10分程度で組み立てられます。風が強いと吹き飛ぶので、台風が近づくたびに畳んで片づけています。台風が通り過ぎた頃にまた組み立てて…ということを繰り返していますね

モデルガンや西部劇グッズを集めたコレクションルーム

コレクションルーム中学生の頃から西部劇のグッズを集め始めた野村さん。コレクション歴は60年以上。集めたアイテムは、数百個にも上るといいます。なかでもコレクションルームに飾っているものは、野村さんが「表に出したくない…」と話すくらい貴重なものばかり。コレクションルームでは、レコードでカントリー調の曲を流しながらくつろいでいるそうです。

西部劇に出てくる建物をイメージして、外側は半割丸太で囲っています。入り口に飾ってある看板は、アメリカにいる友人に買ってきてもらった、思い入れのある品です

コレクションのモデルガン室内の壁には焼き付けレンガを使用して、西部劇の雰囲気を盛り立てています。その壁に飾られているのは、数十丁ものモデルガンのコレクション。野村さんが60年以上かけて、一つひとつ集めた大事なものばかりです。

西部劇に出てくる保安官事務所のイメージを再現しています。こんなふうにライフルを立てかけていることが多いんですよ

ナバホ族のブランケット赤が際立つブランケットは、アメリカの南西部に先住するインディアン、ナバホ族のものだそうです。ナバホ族の女性が手づくりするブランケットは、その質の高さから大変貴重なものとされています。野村さんはアメリカを訪れて、手に入れたそうです。

インディアンのものには、原色が使われていることが多くて、部屋づくりのポイントカラーになってくれます。原色が織りなす美しい色合いには、見とれてしまいます

マンデラインディアンの盾をかたどったマンデラはお守りの一種で、子どもたちを悪霊や悪夢から守るためにつくられたともいわれています。野村さんが所有するマンデラは、サイズが大きく立派な見た目をしています。
コレクションルームインディアンの模様が施されているバッファローの頭蓋骨は、入手するのに苦労した一品。1984年にアメリカを訪れた野村さんは、これと同じものを購入しようとしましたが、関税からの許可が得られず一度は諦めたそうです。

当時はとても悔しい思いをしましたが、30年近くたった後、日本にもバッファローの頭蓋骨が入るようになりました。そこでようやく手に入れることができたという代物です

インディアンの冠インディアンのなかでも高い地位にある男性が、儀式や戦場で身に着けていた冠のことを、ウォーボンネットと呼びます。西部劇に登場するインディアンがよく被っていることもあり、野村さんのコレクションにも加えられています。

このウォーボンネットには、イーグルの羽が使われています。イーグルの羽は何年たっても色あせないところがいいですね。毛皮の部分は、ミンクです

馬具を収納しているカウボーイ小屋

カウボーイ小屋野村さんが「オレゴンハウス」という愛称で呼ぶこちらのカウボーイ小屋は、1996年に建てられました。馬具の収納場所として使っています。7畳ほどのログハウスの中には、いくつもの鞍が置いてあります。

ご自身の馬を飼っている野村さんは半年から一年に数回、乗馬を楽しんでいます。以前は近隣の乗馬クラブに馬を預けていたそうですが、現在は遠方の馬を放し飼いにできるところに引越ししました。
愛馬

久しぶりに会いに行ったら覚えていて、涙が出ましたね。なじむまで手間のかかった馬で、僕のところに来た時には立て続けに3回も振り落とされました

馬具のコレクション

好きなものを好きなところに置くだけで、自然と部屋の雰囲気がつくられます。僕はただ好きなものを集めただけで、もののほうが部屋の雰囲気をつくってくれたのです

家具はアンティーク調のものを選び、西部劇の雰囲気に溶け込ませる

アンティークの家具上下に突き出た角が特徴的な椅子には、東南アジアの水牛の角が使われているそうです。椅子をはじめ、ソファや棚などの家具は、西部劇の雰囲気に合うものを選んでいるのでしょう。古びた雰囲気を大事にしている野村さんは、アンティークショップや骨董品店で家具を購入しています。

いぶし銀や木の古びた感じが出ている家具が好きです。古い家具は使い込んでいくうちにいい味が出るから、使い続けるほどに愛着がわいてきますね

3.思い入れのあるものは「ドア」と「アクセサリー」

野村さんがまだ学生だった頃、後に数十年の付き合いとなるインディアン工芸家と出会いました。コレクションルームのモデルとなったのは、彼のアトリエです。

インディアングッズが所狭しと置いてある様子は圧巻でしたね。初めて入ったときには、その素晴らしさに衝撃を受けました

インディアングッズアトリエのドアを譲り受け、コレクションルームのドアとして、そのまま取り付けています。

僕はこのドアをくぐって、彼のアトリエという“異世界”に迷い込んだようなもの。そういった意味では、僕にとってものすごく思い入れの強い、宝物といえるドアです

お気に入りのアクセサリー原宿にショップを構える「goro’s(ゴローズ)」の創業者兼デザイナーだった髙橋吾郎さんの作品は、現在ではなかなか手に入れることができない貴重なものです。

ゴローさんの作品に初めて触ったとき、その質のよさに驚いたことを覚えています。それ以来、ずっと憧れ続けて、少しずつ集めた宝物たちです

4.西部劇は自分が生きてきた証

アンティークの時計野村さんにとって、コレクションルームをはじめ、カウボーイ小屋に集めた品々やティピーの存在は、生きてきた証です。幼少期から西部劇に親しみ、憧れを抱いたことに端を発し、60年以上収集している西部劇のグッズ。「ものを愛でれば、そのもの自体が輝いて訴えかけてくるんです」と笑う野村さんからは、コレクションしたすべてのものに、深い愛情を抱いているのが伝わってきます。

僕は歯医者をしていますが、学術研究をする歯医者はたくさん知っています。でも、西部劇ごっこにここまでのめり込んでいる歯医者はそういないと思います。唯一無二の歯医者なんて、素晴らしいですよね

スチール製の倉庫最近では、スチール製の倉庫に西部劇のポスターを貼り付けています。このポスターも、30~40年前に集めた大事なコレクション。殺風景に感じる倉庫も、ポスターを貼るだけで大きく印象が変わります。貼り付けにはマグネットを使用しているそうです。

愛でるものがたくさんあって、それらに囲まれているのは幸せです。僕のまわりには、西部劇ごっこの先輩方がたくさんいるので、彼らに負けないようにこれからも頑張ります

野村さんは、今後も西部劇の部屋づくりに磨きをかけていくと笑顔で話してくれました。

■プロフィール
名前:野村勤さん
Instagram:tyree0104さん
お住まい:香川県丸亀市
家族構成:ファミリー