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植物に囲まれて暮らす!映画からインスピレーションを得てつくりあげた植物愛が過ぎる部屋|あの人の偏愛部屋 vol.12

目次

なにかに夢中になっている人は魅力的です。たとえそれがいき過ぎた愛だとしても。
抑えきれない愛を詰め込んだ部屋にお邪魔して、その人のこだわりのライフスタイルを探る企画「あの人の偏愛部屋」

第12回はSHINPEIさんの「植物愛が過ぎる部屋」です。
玄関に入るとすぐに、腰まで届く大きな観葉植物が出迎えてくれます。映画や写真からインスピレーションを得てつくられた空間は、ジャングルを思わせるほど植物が生い茂っていました。
1DKの空間に置かれた植物の数は、なんと約100個。それでも雑多な印象を与えないのは、植物の配置が計算しつくされているからです。自分のルールを決め、映画をイメージしながらつくられた素敵な部屋で暮らすSHINPEIさんに、植物愛を語っていただきました。

1.きっかけは映画『レオン』に登場した観葉植物

植物が多く飾られた部屋SHINPEIさんの植物愛は、10代後半に見た『レオン』という映画がきっかけです。『レオン』は、リュック・ベッソン監督により1994年に製作されたアクション映画。主人公は孤独な生活のなかで、アグラオネマという観葉植物を大事に育てていました。劇中では、朝に水をやり、昼は窓辺で日光浴をさせて、夜は葉の汚れをふき取って…と、アグラオネマに愛情を注ぐレオンの様子が描かれています。

『レオン』を見てすぐに植物を育て始めたわけではありませんが、植物を大切に育てるシーンは心のどこかにずっと残っていました。初めて植物を購入したのは、一人暮らしを始めた20代中頃です

SHINPEIさんが初めて購入したのは、サンセベリアという観葉植物。メゾン・マルジェラというファッションブランドの写真集に載っているのを見て、そのかっこよさに衝撃を受けたのだそうです。SHINPEIさんは、『レオン』以外の映画や写真からも多くのインスピレーションを得ています。

ウォン・カーウァイ監督の初期の作品も好きです。香港の雑踏に映し出される退廃的なイメージには哀愁があり、ロマンも感じます。そういった映画のイメージが、現在の部屋づくりに生かされています

成長に伴い変化するところが生の植物ならではの魅力

植物だらけの部屋近年、その手軽さからフェイクグリーンの人気が高まっていますが、SHINPEIさんが部屋に置いているのはすべて本物の植物です。

フェイクグリーンも素敵だと思いますが、生の植物にしかないよさがあります。それは、植物が育っていく過程で、部屋の景色が変わること。時がたつにつれて部屋の雰囲気が変わるのが、生の植物を育てる醍醐味だと感じています

植物をインテリアエレメントの1つと考えているSHINPEIさん。お気に入りを選ぶ際は、植物の形がどう変化していくのかを想像しながら決めているそうです。

2.愛する植物をすべての部屋に!ベストな存在を配役するイメージで

SHINPEIさんの部屋づくりは、室内だけでなく建物全体を見ることから始まります。築40年以上のレトロマンションは、10代後半から20代に見た映画のイメージにピッタリはまったと言います。

これがタワーマンションなら、まったく違った部屋になっていたでしょうね。今の部屋は、このレトロなマンションならではの部屋です。僕は、箱に合わせて部屋づくりをします
この部屋には、過去に見たさまざまな映画のイメージが反映されています。スタジオジブリの映画作品も好きで、そこからの影響も受けていると思います。これまで見てきた映画から、今の緑豊かな部屋につながっているのかもしれません

落ち着くだけでなく、感性を刺激するようなリビング

ダイニングを兼ねたリビングダイニングを兼ねたリビングにはソファが置いてあり、ここでくつろぐのが日課なんだそうです。植物を連想する緑のソファと赤い絨毯の組み合わせが、落ち着くだけでなく、感性を刺激するような雰囲気。たくさんの植物に囲まれたリビング・ダイニングは森の中にいるようで、食事の風景を想像するだけで心が躍ります。
水玉模様のベゴニア

リビングには、葉の模様に特徴があって、見ているだけで面白いと感じる植物を置いています。例えば、ベゴニア・マクラータはドット柄が印象的な植物です

窓辺に置いた植物リビングにある大きな窓には、カーテンがありません。代わりに植物を置いたり、吊るしたりすることで、外からの視線をうまく遮っています。

カーテンは生活感が出てしまう気がして、代わりに植物を置いてみました。飾れるところにはすべて、植物を置きたい気持ちです

本棚には蔓タイプの植物

本棚に置く植物は、つる性で下に伸びるタイプを選んでいます。無機質に感じる場所も、植物を飾ることで動きが加わり、温かい雰囲気になります

夜には間接照明と植物の組み合わせを楽しむSHINPEIさん。関節照明が加わるだけで部屋の表情はがらりと変わり、大人っぽい雰囲気になります。

大きめの観葉植物で視線を遮ったベッドルーム

大きめの観葉植物リビングとベッドルームの間にある壁には、大きめの鉢に植えられた植物が並んでいます。白い壁との対比が印象的で、葉の柄がより美しく見えます。

リビングとベッドルームの間に大きめの植物があると、バランスがいいと感じます。植物を置き空間を区切ることで視線が遮られ、部屋に奥行きを持たせられます

植物に囲まれたベッドルーム森の中を思わせる、緑豊かな寝室です。たくさんの緑に囲まれていたくて、天井からも植物を吊り下げベッドを囲うように配置しています。歩くときに植物が邪魔にならず、緑のボリュームも出せるので、天井から植物を吊り下げるのはおすすめだそうです。

キッチンは機能性を重視して植物は最小限に

キッチンリビングやベッドルームと一転して、キッチンは生活感があるほうが好きだと話すSHINPEIさん。料理好きなこともあり、作業のしやすさを最優先にしています。

ウォン・カーウァイ監督の映画みたいに雑多なイメージでつくっています。アーティストのアトリエのように、使う人の個性がにじみ出るキッチンが理想です

玄関の収納キッチンには選びぬいた最小限の植物を置いています。冷蔵庫前のミルクブッシュは、細いシルエットながら存在感があります。

湿気が多く日当たりが悪い洗面所にはシダ系が最適

お風呂周りにはシダ系植物湿気が多く日当たりの悪い水回りには、植物の向き不向きがあります。洗面所に置く植物としてSHINPEIさんが選んだのは、シダ系植物です。

湿気の多いところには、暗い場所でも育つシダ系のビカクシダやフレボディウム・アウレウムなどがおすすめです

冷たい雰囲気になってしまうことが多い洗面所も、植物を置くことで華やかな印象になります。薄いピンクのタイルの壁に、淡い緑色の葉が映えます。

植物が所狭しと生い茂るベランダ

ベランダと植物ベランダにもさまざまな植物が置かれていて、緑が生い茂るジャングルのよう。リビングからベランダの植物を眺めるのは、SHINPEIさんにとって心安らぐひとときです。

ラックやシェルフも部屋づくりに欠かせないアイテム

ラックの収納と植物植物を部屋に取り入れてから、日々成長し、変化し続ける植物たちに癒やされるようになったと話すSHINPEIさん。植物を飾るためのラックやシェルフは、いつの間にか部屋づくりに欠かせないアイテムとなりました。アイアンの飾り棚は、まさに植物を飾るために購入したインテリアです。

ラックから下に長く伸びているのは、エスキナンサス・ラスタです。ラックは部屋の中央に置いているので、日の光が届きにくいことから、ある程度耐陰性のある植物を選びました

テーブルも植物を飾ることを前提に選んでいます。少し広めのタイプを選んだのは、空いたところに植物を置くためだうれしそうに話してくれました。

3.長く過ごすリビングにはお気に入りカラテアを

リビングに飾ったカラテアSHINPEIさんは、1番長く過ごすリビングに、特に気に入っている品種を置いています。リビングに置いているのは、縞模様がスタイリッシュな印象のカラテア・マコヤナ。ドットやストライプなど、葉の模様が特徴的なカラテアは、熱帯アメリカ原産の観葉植物です。
お気に入りの観葉植物カラテア

カラテアをリビングのテーブルに置き、時間があれば霧吹きで水をあげたり、その姿を眺めたりしています。夜になると葉をキュッと寄せて休眠する様子に、癒やされることもあります

お気に入りの観葉植物映画好きのSHINPEIさんは、映画を見ながら合間を見て、部屋の植物たちに目を向けるのが好きだと照れながら話してくれました。

インテリアとして植物が好きな人はみんなそうなのかもしれませんが、いつも植物のことを考えています。頭から離れないんです…

友人からもらったコウモリラン

壁に飾った観葉植物大事にしている植物として紹介してくれたのは、4~5年前に友人からもらったというコウモリラン。リビングの壁に飾って、日々、成長を見つめています。

植物は飾る場所によって、フォルムが変わります。窓がある方向に向かって葉が育つので、僕のコウモリランは片方の葉だけ大きいです。僕の部屋だけで見られるオリジナルフォルムだと思うと、いっそう愛着がわいてきます

4.自作の庭を持って、植物に囲まれた生活をしてみたい

植物愛にあふれた部屋幼少期を自然豊かな地で過ごしたSHINPEIさんにとって、植物は生活に欠かせないものです。部屋を飾る要素の1つとして植物を集めていくうちに、自然と現在のような部屋になっていきました。

例えば、『冬だからこうしなくちゃいけない』とか、『イベントのときはこうするべき』といった季節やイベントに縛られる必要はないと思っています。部屋づくりのルールは、自分で決めるものではないでしょうか。夏にファーが飾ってあってもいい…自然体で楽しむのが1番だと思っています

1年間フランスに住んでいたこともあるというSHINPEIさん。今後の展望として、海外で自作の庭を持つことを考えています。

以前、旅行で訪れたフランスのエズという村が印象的だったと話します。エズはフランス南東部のコート・ダジュールにある小さな村で、その景色の美しさから観光地としても人気の高い場所です。

緑が青々と生い茂る庭と、その周辺に広がる地中海の対比が、言葉にできないほど美しかったです。いつかそういった場所に住んで、部屋の中だけでなく庭でも植物を育てる生活を送りたいです

■プロフィール
SHINPEIさん
Instagram:shin_pei
インテリア関係
東京都世田谷区
一人暮らし