自分らしさを盛り込んだリノベーション物件、オリジナリティが感じられる部屋など、こだわりの住まいに暮らす人々にインタビューする企画「わがままな住まい」。その人のライフスタイルとともに、家づくりから住まいに対する価値観まで伺います。
今回お話を伺ったのは、中古の一戸建て住宅をフルリノベーションした三塚さん。キャンプ好きが高じて、土間やリビングでキャンプライクな時間を過ごすなど、悠々自適なライフスタイルがインスタやYouTubeでも好評です。
フルリノベーション前提で中古物件に絞って住まい探し
3年前に築20年ほどの一戸建て住宅を購入し、フルリノベーションした三塚さん。もともとビンテージやアンティークなどの趣あるテイストが好きで、住まいも中古物件に絞って探していました。家づくりのポイントは、可能な限り天井を高くして開放感ある空間にすること。そして、家族が別々の場所にいても気配を感じられるLDKが希望でした。メインの採光が南向きで、窓からの視界も抜ける南道路であることが絶対条件です。
三塚さんがLDKの中で特に気に入っているのがダイニングテーブル。北欧家具の有名ブランド・Artek(アルテック)の「TABLE91」をセレクト。シンプルなデザインと直径125cmのサイズ感、脚の曲線美に惹かれて、思い切って購入したと笑います。
このテーブルに、イギリスの名作家具、ERCOL(アーコール)のビンテージチェア2脚とEsavian(エサビアン)のスクールチェアをさらりと合わせるところに、三塚さんのセンスが光ります。
テーブルの天板の色と調和したライトグレーの壁は、奥さまやご両親など、延べ4人で4面を2日かけてペイントしたそうで、既存の窓も格子窓にアレンジ。あえてラフに塗って、ハンドメイド感のある仕上がりです。
8畳の和室が土間に大変身! 半戸外のスペースが快適すぎる
DIYを器用にこなす三塚さんは工具をひと通りそろえていますが、DIY以上に好きなのがアウトドアです。持っているキャンプギアもかなりの充実度で、1階の玄関横にある土間スペースにはキャンプギアが整然と並んでいます。住まいの中でハイライトな空間はと聞くと、「土間」と即答するほど三塚さんにとって思い入れの強いスペースです。
土間で長時間、快適に過ごせるようにし、ミニ冷蔵庫やクーラーボックス、アルパカストーブを据え置き、エアコンも完備。お気に入りのキャンプギアは見せて収納できるように、壁面の強度を上げて可動棚を設置しています。サイズや形がバラバラなキャンプギアが、パズルのピースがピタッとそろうように壁面に収まっている様は圧巻です。
子育てしながら家の中で“キャンプする”が日常
土間だけではなく、ウッドデッキで食事をすることも多いそうで、料理も実際にキャンプで作るメニューにして、調理に使ったフライパンやカッティングボードもそのままテーブルへ。割れにくい竹製の食器と合わせて本格的なテーブルコーディネートで、キャンプ気分を盛り上げます。
道路に面しているので、人目が気にならないように立てた木製フェンスも、三塚さんにかかればこのとおり。
プライバシー保護が目的のフェンスにデザイン性が加わって、一気に表情豊かな空間へとブラッシュアップされています。”庭活”と称して植物に水やりをしたり、2階のベランダでもコーヒー時間を味わうなど、家の内と外の境界線をゆるくして、どちらにも心地いい日常があり、ときには非日常をつくり出せる。そんな遊び心あふれる暮らしが三塚さん流のライフスタイルのようです。
料理する人の目線で、キッチンの使い勝手と見た目をカスタマイズ
キャンプ料理だけではなく、普段の料理も三塚さんが担当で、パンやバースデーケーキを作るのもお手のもの。そのためキッチンも、使い手目線の創意工夫が随所に施されています。キッチン本体はステンレスキッチンを採用し、L字形の造作カウンターと組み合わせた“コの字”形にレイアウト。動線を短く、作業スペースをたっぷりとったプランです。
シンク下はオープンにして、収納スペースを自由に組み替えられるようにし、シンク奥の腰高窓は、「大きすぎたから」と、自ら窓の前に石膏ボードで壁を作ってオープンラックやツールバーなど収納スペースを“増設”しています。
デザイン性にも考慮して木製カウンターの本体はコンクリートブロック調のタイル貼り。本物のコンクリートブロックは重く、床の強度が保てないための代替案だったそうですが、近くで見ても本物と間違えるほどの素材感で、三塚さんもクオリティの高さに大満足なのだそう。
料理の好みや子どもの成長に合わせて、作る料理や使う調理器具、食器の種類や数も変わっていくキッチン。自由にアレンジできる“余白”の残る三塚さんのキッチンは、まだまだ進化していきそうな雰囲気が漂います。
住まい=趣味。尽きることのない楽しい暮らし
家づくりやインテリア、そして料理も三塚さんの担当ですが、奥さまにダメ出しをされたことはなく、奥さまの家づくりの希望は駅から徒歩10分以内の立地であること。以前の住まいでも模様替えや家具の配置替えをこまめにしていた三塚さんのセンスを熟知しているため、全幅の信頼を寄せているそうです。住まい全体のデザインや世界観に統一感があるのも納得です。
そんな三塚さんの“新作”が1階の個室。仕事部屋兼客間で、昨年から週の半分がリモートワークになった生活をより快適にし、客間としても機能するバランス感覚に長けた空間に様変わりしました。
DIYやアウトドアなど、自分の趣味を住まいにダイレクトに反映させ、家族の成長や暮らしの変化にも対応できる“ゆとり”がある三塚さんの住まい。インスタグラムやYouTubeでも遊び心あふれる自然体の暮らしを垣間見ることができます。お子さんの成長とともに、住まいも暮らしも、ワクワクする未完成が続きそうです。
■プロフィール
三塚さん
会社員
住まいのタイプ:一戸建て/築約20年/約100m2(ロフト除く)/2LDK+ロフト+土間
夫婦、子どもの3人暮らし
東京都郊外
2017年より居住
Instagram :mitsu(@322_ka)
YouTube:322ka
1985年生まれ。2017年に住み慣れたエリアにフルリノベーション前提で中古の一戸建て住宅を購入。平日夜や休日などを利用して、少しずつ自分好みの空間にアレンジ。5年前からキャンプに興味をもち、アウトドアはもちろんインドアでも楽しめるキャンプライフを時折楽しんでいる。2019年11月に長男誕生。
取材・文:浜堀晴子