なにかに夢中になっている人は魅力的です。たとえそれがいき過ぎた愛だとしても。
抑えきれない愛を詰め込んだ部屋にお邪魔して、その人のこだわりのライフスタイルを探る企画「あの人の偏愛部屋」。
第6回はGarageDDさんの「ガレージ愛が過ぎる部屋」です。
「ガレージ愛」と聞いて、工具が壁に吊り下げられているような部屋を想像していましたが、実際のガレージを見ると、そのイメージは見事に覆されました。梁がむき出しの高い天井や板が打ち付けられた壁が、秘密基地らしさを醸しだします。ヴィンテージ感のある手づくり家具が並べられた室内は、カフェのような居心地のよさ。バイクのブレーキディスクを利用したシャンデリアや、バイクのサスペンションを取り付けたドアノブなど、GarageDDさんの個性が光ります。
セルフリノベーションは「コストパフォーマンス重視!」と話すGarageDDさんのガレージ愛を探っていきましょう。
1.きっかけは、友人から譲ってもらったバイク
もとは酒屋だったというこちらのガレージ。GarageDDさんが幼少期に遊んだ、なじみ深い場所です。子どもの頃に抱いた「自分だけの秘密基地」への憧れを、ガレージに投影しています。
DIYは未経験だったと話すGarageDDさん。しかし、もともとインテリアに興味があり、手を動かす作業が好きだったことも高じて、知識と技術の習得が早かったそうです。ガレージづくりを始めてからわずか2年で、ほぼ現在の形にまで仕上げました。
ガレージの魅力は、自分の好きに使える空間があるということ
ガレージにある冷蔵庫やテーブルなどは、GarageDDさんの手づくりです。ガレージ内で作業することがあるため、床はコンクリートのままにしているのだそう。
2.コンセプトは「イギリスの老舗カフェ」
カフェめぐりが好きなGarageDDさん。お気に入りのカフェに足を運んでも、座る席がないほど混んでいることがあり、残念に感じていたそうです。
セルフリノベーション
①商品棚でつくった仕切り
ガレージ内は、物置スペースとリビング・ダイニングの2つに分かれています。仕切りに使われているのは商品棚。舞台セットを作成する海外のドキュメンタリー映像を見ながら、まねしてつくったそうです。
②カラーボックスを利用したバーカウンター
カラーボックス2つを左右に置いて脚の代わりとし、天板をのせてつくったバーカウンター。カラーボックスを使ったDIYとは思えない、本物のバーカウンターのような仕上がりに驚きました。
③天板にアイアンの脚を付けたテーブル
アイアン素材のテーブルの脚を購入し、DIYした天板を取り付けています。
④酒屋のパレットでつくったキャスター付きローテーブル
テーブルの下に取り付けたキャスターも、パレットのヴィンテージ感に合わせて錆び塗装を施すこだわりようです。
⑤リメイク冷蔵庫
⑥洗面器を利用した流し台
「イギリスの老舗カフェ」をうたうなら、お酒や飲み物が必要です。ガレージに人が集まったり、1人でくつろいだりするのにも欠かせません。食器が洗えるコンパクトな洗面台は、カフェのイメージにピッタリです。
自由にレイアウトを変えられる部屋
GarageDDさんがDIYした家具は、いずれもキャスター付き。1人でくつろぐときと友人が遊びに来るときで、レイアウトを変えられる仕掛けです。レイアウトを変更する際は、人がスムーズに動ける動線の確保に力を注いでいます。
コストパフォーマンス重視のセルフリノベーション
セルフリノベーションをする際、GarageDDさんはコストパフォーマンスを最も重視しました。
例えば、天井に吊るされたシャンデリアは、バイクのブレーキディスクと100円ショップで購入した仏壇用のろうそくという意外な組み合わせ。
3.お気に入りは、入り口のドアと電話ボックス型冷蔵庫
お気に入りのDIY
〈入り口のドア〉
もとは酒屋の倉庫だったため、入り口は無骨なシャッターでした。GarageDDさんが「苦労してつくったんです」と自慢してくれたのは、オシャレなエメラルドグリーンのドア。取っ手にバイクのサスペンションを利用したところにGarageDDさんらしさが表れています。
ドアが完成した今は、カフェ風のオシャレな外観がお気に入りだそうです。カフェと間違えられることも多いらしく、なんと取材中にも営業中のカフェだと思って訪れた方がいて驚かされました。
〈電話ボックス型冷蔵庫〉
電話ボックスに見えるのは、実は冷蔵庫。ユニークなデザインがひときわ目を引きます。
GarageDDさんは、倉庫に眠っていた古い冷蔵庫を見た瞬間から、電話ボックス型の冷蔵庫につくり変えようと決めていました。ロンドンの電話ボックスをまねて、ガラス部分には赤い木枠を付けて格子状に。丸みのある屋根は業務用発泡スチロールと段ボールで再現しています。
“TELEPHONE”の文字がある場所は、リメイク前からもともと光る構造だったそう。光る部分を生かしたいと考えたときに思いついたのが、現在の電話ボックス型だったと言います。
家具は黒か茶色で統一し、ヴィンテージ感のある物を選ぶ
新しい椅子はサンダーで磨いて傷をつける徹底ぶり。GarageDDさんの細部へのこだわりに、頭が下がります。
今後はロフトをつくりたい
ロフトづくりを考えているGarageDDさん。物置スペースをロフトにすることで、リビング・ダイニングを広く使う計画です。
4.人が集まるガレージは、大切なコミュニケーションツール
GarageDDさんは、ガレージをつくってから人とのつながりが生まれたとうれしそうに話します。SNSを通してガレージの存在を知った人たちが、全国から足を運んでくれることもあるそうです。
ガレージの壁にある手づくりの棚には、フォロワーさんから贈られたハンドメイドの品がきれいに並べられています。
仲間が集まる場所
バイクが好きなGarageDDさんには、ツーリング仲間がいます。休日には、仲間と連れ立ってバイクで遠出することもあるそうです。ツーリングスケジュールの打ち合わせはもちろん、GarageDDさんのガレージで行います。
〈プチ同窓会の開催〉
気心の知れた友人ならばいつでも、素敵なインテリアに囲まれてお茶やお酒が飲めるGarageDDさんのガレージ。同窓会の会場に選ばれるのも納得です。
コミュニケーションツールとしてのガレージ
ガレージは自分の部屋であると同時に、コミュニケーションツールでもあると話すGarageDDさん。ガレージを通してさまざまな出会いを経験できることが幸せだと、優しい笑顔を見せます。
〈マルシェの開催〉
ハンドメイド作家を集めてマルシェを開催することもあります。
■プロフィール
GarageDDさん
Instagram:@GarageDD
自営業
京都府京都市
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