ライフスタイル

中古の一軒家をフルリノベーション! 2階LDKや土間、デッキでキャンプ気分を満喫中|わがままな住まいvol.10

目次

自分らしさを盛り込んだリノベーション物件、オリジナリティが感じられる部屋など、こだわりの住まいに暮らす人々にインタビューする企画「わがままな住まい」。その人のライフスタイルとともに、家づくりから住まいに対する価値観まで伺います。

今回お話を伺ったのは、中古の一戸建て住宅をフルリノベーションした三塚さん。キャンプ好きが高じて、土間やリビングでキャンプライクな時間を過ごすなど、悠々自適なライフスタイルがインスタやYouTubeでも好評です。

フルリノベーション前提で中古物件に絞って住まい探し

3年前に築20年ほどの一戸建て住宅を購入し、フルリノベーションした三塚さん。もともとビンテージやアンティークなどの趣あるテイストが好きで、住まいも中古物件に絞って探していました。家づくりのポイントは、可能な限り天井を高くして開放感ある空間にすること。そして、家族が別々の場所にいても気配を感じられるLDKが希望でした。メインの採光が南向きで、窓からの視界も抜ける南道路であることが絶対条件です。

築20年ほどの一戸建て住宅を購入しフルリノベーション

1階にあったキッチンを2階にもってきて、2階をLDKにしました。約50平米のほぼワンフロアで、ロフトへ続く電動ハシゴは階段にして側面を黒く塗装し、LDKのアクセントになるしつらえにしています。2階は日当たりもよく、寒い季節でも日中は暖房いらずの暖かさですが、逆に夏場は暑いです(笑)。でも、無垢のパイン材のフローリングは素足が気持ちよくて、理想どおりの空間になりました。

三塚さんがLDKの中で特に気に入っているのがダイニングテーブル。北欧家具の有名ブランド・Artek(アルテック)の「TABLE91」をセレクト。シンプルなデザインと直径125cmのサイズ感、脚の曲線美に惹かれて、思い切って購入したと笑います。

お気に入りの北欧家具の有名ブランド・Artek(アルテック)「TABLE91」

このテーブルに、イギリスの名作家具、ERCOL(アーコール)のビンテージチェア2脚とEsavian(エサビアン)のスクールチェアをさらりと合わせるところに、三塚さんのセンスが光ります。

テーブルの天板の色と調和したライトグレーの壁は、奥さまやご両親など、延べ4人で4面を2日かけてペイントしたそうで、既存の窓も格子窓にアレンジ。あえてラフに塗って、ハンドメイド感のある仕上がりです。

テーブルの天板の色と調和したライトグレーの壁はDIY

自分で手を加えて、空間を自由にアレンジできるのもリノベーション物件ならでは。それに中古の一戸建ては耐震性や断熱性アップにコストがかかるので、DIYはコストダウンの解決策でもありました。

8畳の和室が土間に大変身! 半戸外のスペースが快適すぎる

DIYを器用にこなす三塚さんは工具をひと通りそろえていますが、DIY以上に好きなのがアウトドアです。持っているキャンプギアもかなりの充実度で、1階の玄関横にある土間スペースにはキャンプギアが整然と並んでいます。住まいの中でハイライトな空間はと聞くと、「土間」と即答するほど三塚さんにとって思い入れの強いスペースです。

お気に入りがつまったアウトドア収納のこだわりの土間

テーブルと椅子を出して、ハンドドリップしたコーヒーを飲んだり、家族そろってキャンプ気分でご飯を食べたり、DIY工具やキャンプギアのメンテナンス、植物の手入れなど、多目的に使える便利な空間です。

土間で長時間、快適に過ごせるようにし、ミニ冷蔵庫やクーラーボックス、アルパカストーブを据え置き、エアコンも完備。お気に入りのキャンプギアは見せて収納できるように、壁面の強度を上げて可動棚を設置しています。サイズや形がバラバラなキャンプギアが、パズルのピースがピタッとそろうように壁面に収まっている様は圧巻です。

天井板を取り払うことで開放感と趣ある空間に

天井板を取り払って、少しでも天井高を上げて開放感と趣ある空間になるように建築家にお願いしました。土間はもともと和室で、部屋を1つなくすのはもったいない気持ちもありましたが、半戸外の土間にしてよかったと思います。わが家を象徴する快適な空間になりました。

子育てしながら家の中で“キャンプする”が日常

土間だけではなく、ウッドデッキで食事をすることも多いそうで、料理も実際にキャンプで作るメニューにして、調理に使ったフライパンやカッティングボードもそのままテーブルへ。割れにくい竹製の食器と合わせて本格的なテーブルコーディネートで、キャンプ気分を盛り上げます。

ウッドデッキでキャンプ気分を盛り上げる本格的なテーブルコーディネート

道路に面しているので、人目が気にならないように立てた木製フェンスも、三塚さんにかかればこのとおり。

プライバシー保護が目的のフェンスもDIYでデザイン性の高い空間にプライバシー保護が目的のフェンスにデザイン性が加わって、一気に表情豊かな空間へとブラッシュアップされています。”庭活”と称して植物に水やりをしたり、2階のベランダでもコーヒー時間を味わうなど、家の内と外の境界線をゆるくして、どちらにも心地いい日常があり、ときには非日常をつくり出せる。そんな遊び心あふれる暮らしが三塚さん流のライフスタイルのようです。

ベランダでかなう遊び心あふれる暮らし

料理する人の目線で、キッチンの使い勝手と見た目をカスタマイズ

2019年11月に長男が生まれて、今はプライベートな時間のほとんどを子どもと遊ぶ時間に費やしています。子どもが小さいうちはキャンプに行けませんが、発想を変えてダイニングにテントを張って、テント前にキャンプ用のテーブルと椅子を出して食事をしたり、テントの中で寝たり、これはこれで結構楽しいです(笑)

キャンプ料理だけではなく、普段の料理も三塚さんが担当で、パンやバースデーケーキを作るのもお手のもの。そのためキッチンも、使い手目線の創意工夫が随所に施されています。キッチン本体はステンレスキッチンを採用し、L字形の造作カウンターと組み合わせた“コの字”形にレイアウト。動線を短く、作業スペースをたっぷりとったプランです。

L字形の造作カウンターと組み合わせた“コの字”形キッチン

シンク下はオープンにして、収納スペースを自由に組み替えられるようにし、シンク奥の腰高窓は、「大きすぎたから」と、自ら窓の前に石膏ボードで壁を作ってオープンラックやツールバーなど収納スペースを“増設”しています。

シンク奥の腰高窓前に石膏ボードで壁を作ってオープンラックやツールバーなど収納スペースを増設

壁は窓の木枠に固定して、壁面タイルとのつなぎ目はパテを塗ってなじませています。使う場所、使いたいときにさっと調理器具を手にできて作業しやすくなりました。

デザイン性にも考慮して木製カウンターの本体はコンクリートブロック調のタイル貼り。本物のコンクリートブロックは重く、床の強度が保てないための代替案だったそうですが、近くで見ても本物と間違えるほどの素材感で、三塚さんもクオリティの高さに大満足なのだそう。

本物と見間違えるほどクオリティの高いコンクリートブロック調のタイル貼り

料理の好みや子どもの成長に合わせて、作る料理や使う調理器具、食器の種類や数も変わっていくキッチン。自由にアレンジできる“余白”の残る三塚さんのキッチンは、まだまだ進化していきそうな雰囲気が漂います。

住まい=趣味。尽きることのない楽しい暮らし

家づくりやインテリア、そして料理も三塚さんの担当ですが、奥さまにダメ出しをされたことはなく、奥さまの家づくりの希望は駅から徒歩10分以内の立地であること。以前の住まいでも模様替えや家具の配置替えをこまめにしていた三塚さんのセンスを熟知しているため、全幅の信頼を寄せているそうです。住まい全体のデザインや世界観に統一感があるのも納得です。

黒やグレーなど無機質な色を使いモダンな要素も取り入れた空間

住まいは木材を多く使ったナチュラルな空間ですが、黒やグレーなど無機質な色を使いモダンな要素も取り入れるように意識しています。収納は子どもの成長とともに必要になってくると思うので、壁面は可動棚で、カウンター下は市販の収納でアレンジできるようにしています。僕にとって住まいは趣味。完成のない永遠の未完成を面白がって暮らしています。

そんな三塚さんの“新作”が1階の個室。仕事部屋兼客間で、昨年から週の半分がリモートワークになった生活をより快適にし、客間としても機能するバランス感覚に長けた空間に様変わりしました。

リモートワーク生活を快適にした仕事部屋兼客間

DIYやアウトドアなど、自分の趣味を住まいにダイレクトに反映させ、家族の成長や暮らしの変化にも対応できる“ゆとり”がある三塚さんの住まい。インスタグラムやYouTubeでも遊び心あふれる自然体の暮らしを垣間見ることができます。お子さんの成長とともに、住まいも暮らしも、ワクワクする未完成が続きそうです。

■プロフィール
三塚さん
会社員
住まいのタイプ:一戸建て/築約20年/約100m2(ロフト除く)/2LDK+ロフト+土間
夫婦、子どもの3人暮らし
東京都郊外
2017年より居住
Instagram :mitsu(@322_ka
YouTube:322ka

1985年生まれ。2017年に住み慣れたエリアにフルリノベーション前提で中古の一戸建て住宅を購入。平日夜や休日などを利用して、少しずつ自分好みの空間にアレンジ。5年前からキャンプに興味をもち、アウトドアはもちろんインドアでも楽しめるキャンプライフを時折楽しんでいる。2019年11月に長男誕生。

取材・文:浜堀晴子