なにかに夢中になっている人は魅力的です。たとえそれがいき過ぎた愛だとしても。
抑えきれない愛を詰め込んだ部屋にお邪魔して、その人のこだわりのライフスタイルを探る企画「あの人の偏愛部屋」。
第5回はオカタオカさんの「木彫りの置物愛が過ぎる部屋」です。
ベージュや茶色、白などの控えめな色でまとめられた室内の一角。木彫りの置物が、美術館の展示のように美しい配置で飾られています。置物の種類はさまざまで、流木でつくられたものやカラフルに塗られた海外のもの、有名作家の貴重な作品などがあります。「こうしたものが部屋にあると落ち着く」と話すオカタオカさんに、木彫りの置物の魅力を聞きました。
1.きっかけは、大学時代のバックパッカー経験
オカタオカさんは、学生時代から民芸品やフォークアートに魅力を感じていたそうです。バックパック1つでインドやアジア各国を旅するうちに、旅先で目に留まった民芸品を購入するようになりました。
木彫りの置物の魅力は、手づくりのぬくもり
置物を選ぶときは、ほとんどが一目ぼれだそうです。手づくりならではのぬくもりが最大の魅力だと熱く語るオカタオカさん。現地の人や職人が丁寧に手づくりした作品の優しい質感に、あたたかみを感じるのだとか。
2.ポイントは「色合い全体のバランス」
「部屋のコンセプトは特に決めていない」と言うオカタオカさんですが、部屋全体の色合いには気を配っています。落ち着いたトーンの色が好みで、置物も基本的にはそういった色のものを選ぶようにしているそうです。もちろん、例外もあります。
リビング
リビングには、ここ5年くらいのうちに購入したものを主に飾っています。北アメリカやカナダ、アラスカ、メキシコ、ペルーなど、さまざまな国のコレクションが混在していますが、配置のルールを細かく決めないのがオカタオカさん流。
トーテムポールの置物は左上にまとめましたが、その他は国も形も色もランダムに飾っています。木のぬくもりや全体の色合いが揃っているため、違和感なくマッチしています。
壁に飾られたヘラジカと、窓際で咆哮する狼はいずれも流木アートで有名な彫刻家・山根大典さんの作品です。自然な木の色を生かした作品を、観葉植物の緑が引き立たせています。植物の分量や置物の間隔などに表れる絶妙なバランスから、イラストのお仕事をされているオカタオカさんのセンスが感じられます。ちょっとした空きスペースを見つけては、棚をつくって置物を飾る徹底ぶり。オカタオカさんは、約100個所持している大切な置物を、これからも「もっと楽しみたい」と意気込みます。
玄関
落ち着いたトーンでまとめられていたリビングルームとは雰囲気がガラリと変わり、玄関には明るいカラーの置物が並びます。
鮮やかなブルーがひときわ目を引く燭台は、「生命の樹」というメキシコの工芸品。スペイン人によって持ち込まれたキリスト教の教えを、メキシコの人々が独自の感覚で表現したものです。樹の下にはアダムとイブの姿があります。
寝室
現段階で飾りきれない置物は、寝室にある収納スペースにしまっています。寝室に飾ることも考えたそうですが、ほこりが溜まりやすいとの理由で断念しました。シンプルで過ごしやすい空間にするために、置物は厳選しました。ベッドサイドにはぬいぐるみや熊の置物などを置いています。
書斎
壁に飾ってあるのは、アフリカ・バウレ族のお面。日本の古道具屋で購入しました。和室の長押(なげし)や柱の雰囲気に、素材の質感や色合いが絶妙になじんでいます。
3.お気に入りは、柴崎重行さんの木彫り熊
飾り方のポイントはバランス感覚
形や大きさが違う置物をきれいに飾るポイントは、抜け感を意識することだと言います。オカタオカさんは棚を飾った後、距離をとって眺めてから配置の調整をしているそうです。一度納得しても、日がたつにつれて違和感を覚えることも。均整の取れたリビングの飾り棚は、オカタオカさんが何度も修正してつくりあげた賜物です。
柴崎重行さんの木彫り熊
オカタオカさんが気に入っている作品は、芸術家・柴崎重行さんの木彫り熊です。柴崎さんは、埼玉県から木彫り熊発祥の地である北海道の八雲町に移住して、木彫り熊を制作し続けた作家。今は亡き柴崎さんの作品は、大変貴重なものとなっています。
有孔ボードを利用して、飾れる場所を確保する
木の置物を飾っている有孔ボードは、前の家に住んでいた頃から使っているものです。壁に穴をあけず置物を飾れて、場所を自由に変えられるところが便利だそう。
有孔ボードの色を変えることを検討中
現在は飾り棚のみこげ茶色に塗っています。
今後欲しいもの
4.木彫りの置物を飾って、落ち着く部屋をつくる
木彫りの置物のある部屋で過ごすとき、オカタオカさんはあえて何もしないで過ごすことが多いそうです。仕事を忘れてお気に入りの置物を眺める時間は、オカタオカさんにとって至福のリラックスタイム。
ふとした瞬間にインスピレーションが湧いてくることもあるそうで、イラストレーターの仕事には欠かせない空間となっています。
愛する置物に囲まれた空間に身を置くことで、安心感を得たり心が落ち着いたりすると、穏やかな笑顔で話してくれました。
■プロフィール
オカタオカさん
Instagram:@okataoka
イラストレーター
東京都世田谷区
ファミリー