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『断熱DIYの教室』で学ぶ、1年中快適な家の作りかた

目次

梅雨の晴れ間がうれしい時期です。ここから少しずつ雨の日が減って気温が上がってくると、本格的な夏。夏が好きな人も苦手な人も、家では快適に過ごしたいものですが、残念ながら近年は、家の中で熱中症になって死亡するというニュースが増えています。この状況を改善するために私たちができることはあるのでしょうか?

今回は本格的な夏が到来する前に、自分たちでできる『断熱』について学びます。そもそも断熱とは何か?DIYでできる断熱はあるのか?7月20日から始まるオンライン教室『断熱DIYの教室』を主催する中田製作所・HandiHouse projectの中田理恵さんと、つみき設計施工社の河野直さんに話を聞きました。

1.講師の紹介

中田理恵さん■中田理恵(建築屋、HandiHouse project、中田製作所)

組織設計事務所勤務を経て、『中田製作所』を設立。
「妄想から打ち上げまで」という合言葉のもと、デザインから工事のすべてを自分たちの「手」で行う集団 HandiHouse projectに参画する。
2013年、自分の結婚式を自分達で建てた場所で行うため、海の家SeasideLivingをつくり、毎夏、運営中。2018年東京建築士会 これからの建築士賞受賞。

河野直さんお写真■河野直(つみき設計施工社 代表)

学生時代に、町屋改修現場で大工の手元として建築を学ぶ。
2010年、住む人と作る人が「ともにつくる」ことを理念に『つみき設計施工社』を創立。家や店舗を含めたもの作りの喜びを共有できるプロセスモデルを構築し、普及す ることをミッションにしている。
衣食住といった暮し作りに、誰もが参加できる生活の場を作ることを自らのライフワークとしている。

2.日本の家の76%は「夏は暑くて冬は寒い」

そもそも断熱とはなんでしょうか?

中田理恵さん(以下中田):壁や天井・窓・床に動かない空気層をつくって、屋外の温度の影響を家の中で受けにくくするための工夫です。イメージとしては、熱の影響を伝えにくい素材を家にぐるりと巻いてあげること。そうすることで、夏は涼しく冬は暖かい快適な家が実現できます。

特に築年数の経った一軒家では、夏は暑くて冬は寒いというイメージがあります。日本では、断熱をする意識がまだまだ浸透していないように感じます。

中田:日本の家は、断熱の義務化がされておらず“推奨”されている状況です。だから、北海道で無断熱住宅を建てても法律的に問題はないのです。海外では断熱の義務化がされている国が多くあり、日本の断熱状況は遅れていると思います。
河野直さん(以下河野):『断熱DIYの教室』で受講者に見てもらう日本の住宅の断熱状況を示したグラフがあるのですが、無断熱の家と昭和55年の断熱基準で建てられた住宅が76%を占めています。既存住宅の多くは、断熱されていないんですね。

日本の断熱事情円グラフ

中田:断熱住宅が日本に定着しない理由の一つとしては、日本は縦に長い国で、関東より南は我慢できないほど寒くないから。今でも家の中の暑さや寒さは我慢するものという意識が当たり前ですし、家電の性能が上がっているので、家の中の一部を快適にして過ごすことに慣れています。家電や車は省エネ性能がどんどん上がっているのに、家の燃費がすごく悪いのが、今の日本の状況です。

断熱性能を上げれば家で使う光熱費は下がるし、省エネにもつながりますね。

中田:7月1日からプラスチックゴミを減らすためのレジ袋有料化が始まったように、どんどん地球環境への意識は高まっていると思います。住宅の省エネの工夫はまだまだ大きな可能性があると伝えたいです。
2021年4月から施主への省エネ性能説明が義務化()されるので、新築の断熱はこれから進んでいくのではないかと期待しています。

3.夏の暑さに負けない! すぐにできる断熱DIYは?

最近は、『高気密・高断熱住宅』という新築住宅も出ています。ただ、こういう住宅は高額でなかなか自分で暮らす家の検討に入ってこないです。

河野:DIYで高気密・高断熱にしようとするとすごくハードルが高いです。ただ、日本の住宅の76%はほぼ無断熱ですから、そこから断熱をするのであればDIYでゼロから20点にすることができます。断熱と聞くと大工さんがやるものというイメージがありますが、実際にはDIYでできる断熱はたくさんあります。

具体的に、どんな断熱DIYがありますか?これから夏に向けてできることを教えてください。

河野:たとえば障子がある部屋の場合、和紙は熱を通しやすいので断熱性能が低くなっています。障子の内側にポリカーボネートという板を貼って、その内側に和紙をもう一枚貼るだけで暑さを防げます。

障子の断熱対応

河野:畳をはいで断熱シートを貼ってから畳を戻すDIYも簡単にできます。築30〜40年の一戸建てで畳の部屋がある場合、このDIYはかなりの断熱効果が期待できます。

4.断熱の基本に腹落ちしたら、自分なりの断熱DIYが見つかる

『断熱DIYの教室』では、どんなことが学べますか?

中田:部屋が暑いと直射日光を遮るために遮光カーテンにしたり、日除けを貼ったりするのですが、まずは、なぜ部屋が暑くなるのかを理解したほうがいいです。たとえば東西南北に窓があった場合、夏は東と西の窓のほうが日射時間が長いです。だから、南に加え、東西の窓に日射が入らないように工夫すると、部屋は涼しくなる。
窓にアルミの反射シートを貼っている家を見かけることがありますが、あれは西日に不満があってとりあえず貼っているのだと思います。住宅に関する熱環境の基本を知ってからDIYをすれば、結果は違ってくるはずです。

『断熱DIYの教室』では、最初に住まいの温熱環境のキホンのキから伝えて、自らの知識を元に家全体の断熱効果を高められるようにしています。DIYは自分で考えて自分でやることなので、熱の仕組みに腹落ちしてから断熱DIYをすることで新しいアイデアが生まれるかもしれません。
窓と断熱原状回復義務を考えると、賃貸住宅のDIYはハードルが高いのですが、『断熱DIYの教室』は賃貸暮らしの人も対象ですか?

中田:賃貸住宅に住んでいる人たちこそ、断熱DIYで家を快適にする方法があることを知ってほしいです。賃貸でも絶対に諦めることはなくて、原状回復しやすい断熱方法を伝えています。
日本の賃貸住宅は相対的に温熱環境がよくないので、それを断熱DIYするというのは本当にやりがいがあることなんです!私たちは少しでも多くの人に断熱知識を持ってもらい、エネルギーを使わない家があると知ることで次に選ぶ家の選択肢を増やしたいと思っています。

断熱の基本を知ったあと、『断熱DIYの教室』ではどんなふうに実践まで進んでいきますか?

河野:まずは多くの家でできる断熱DIYの方法を伝えて、その後、受講生一人ひとりの家でできることを質問に答える形式で進めます。DIYは始めてしまえば進むのですが、取り掛かるまでのハードルがあります。教室という形で一緒にDIYをする仲間がいると、始めるきっかけが作りやすい。

今回はオンライン開催なので、場所を問わずに北から南まで様々な課題を持った受講生が集まりそうです。

河野:教室が終わった後も、受講生だけのFacebookグループで進捗共有をして質問に答えていきます。見守る仲間がいて、遠くにいても同じ状況で困っている人と繋がってコミュニケーションが取れるのは心強いものですよ。
中田:今では、これまで教室に参加した受講生たちが断熱DIYの手伝いをしあっています。協力しあうコミュニティが自然発生していて、私たちもとても嬉しいです。「誰か、余ったグラスウールいりませんか?」とか(笑)。そんなマニアックな発信が活発にやりとりされています。

5.ビフォーアフターがほとんど変わらないDIYの“大きなやりがい”

話を聞いていると、断熱はやるほどに快適な住まいに近づいていくように思います。新型コロナウイルスの影響で多くの人が家で過ごす時間が増えている中、豊かな暮らしをDIYで叶えていく動きは広がっていきそうです。

河野:DIYといえば、家具や空間など目に見えるものを作りたくなりますよね? 断熱DIYが面白いのは、ビフォーアフターがほとんど変わらないのに、そこに暮らす人は絶対に幸せになっていることです。DIYが趣味の人もDIYの幅が広がるし、今までとは違うDIYの楽しさを感じてもらえるはずです。
中田:空間をどれだけ素敵に作っても、そもそも家が暑い・寒いという不満があると、100%快適ではないと思います。どう断熱すれば快適な温熱環境が得られるのか知ってDIYができれば、自分の家をもっと好きになれる。住まい選びをするときに、中古住宅は暑くて寒いから新築にするという人は多いと思いますが、古い家でも工夫次第で快適にできることを体感していれば、今後の住まい選びの選択肢が広がるはずです。

暑さを何とかしたくて場当たり的にホームセンターで見つけたものを使ってみる、インテリアに合わないのに暑さに勝てずしぶしぶ遮光カーテンを選ぶ……多くの人がこんな経験をしているのではないでしょうか?
『断熱DIYの教室』はDIYの方法をレクチャーするだけでなく、“自分はどんな暮らしを実現したいのか”を中心に置いて、教室が終わった後も仲間たちと考え動けるように指導してくれます。多くの建築を見て作ってきた河野さん・中田さんのプロの目線で語られる未来を見据えたアドバイスは、自分の家をもっと好きになれるヒントになりそうです。

※2021年4月1日から建築物省エネ法が改正され、 住宅の設計段階で施主に対してこれから建てようとしている家が省エネ基準に適合しているか否かを説明をすることが義務化される。

6.「断熱DIYの教室」について

イベント詳細・お問合せについてはこちら

■内容
1.断熱の「きほん」を学ぼう
2.断熱とエネルギーの「背景」を知ろう
3.自分でできる!断熱DIY事例
4.実践編① 断熱DIYを計画しよう(実習生用)
5.実践編② 断熱DIYを計画しよう(実習生用)

■スケジュール
日付:7/20(月),7/27(月),7/29(木),8/3(月),8/6(木)
時間:20:00 ~21:00

■参加費用/ 事前支払
全5回オンラインレクチャー:
実習生 初回特別価格30,000円 (税込)
聴講生 初回特別価格18,000円 (税込)