ライフスタイル

庭との一体感も魅力。年代も国も素材も織り交ぜた、ミックススタイル空間|わがままな住まいvol.7

目次

自分らしさを盛り込んだリノベーション物件、オリジナリティが感じられる部屋など、こだわりの住まいに暮らす人々にインタビューする企画「わがままな住まい」。その人のライフスタイルとともに、家づくりから住まいに対する価値観まで伺います。

今回ご登場いただいたのは、インテリア・スタイリストとして活躍中の遠藤慎也さん。東京23区内でありながら、約20m2の庭を有する希少な賃貸物件に暮らしています。住まいのこだわりはもちろん、プロならではのスタイリング・テクニックについても伺いました。

庭との一体感を感じる希少物件

東京都世田谷区。静かな住宅街の中に佇む築40年のテラスハウスが、遠藤慎也さんの住まいです。インテリア・スタイリストとして、雑誌や広告、ムービーのスタイリング、ショップや展示会のディスプレイを行っている遠藤さん。最近では、キャンプなどアウトドアシーンのスタイリングでも活躍する人気スタイリストさんです。

リビングにお邪魔すると、窓の向こうに見えるのは、緑豊かな開放感たっぷりの庭。遠藤さんの住まいは、希少な庭付きの賃貸物件なのです。

庭が一望できるリビング全体

この物件にはもともと友達が住んでいたんですが、静かだし、庭はあるし、すごく居心地がよくて。毎日のように遊びに来ては、「隣の部屋、空かないかな」と思っていたんです。そうしたら思いが通じたのか、運よく空いて(笑)。友達から「空いたぞ」と電話が来た瞬間、引っ越しを決めました

2階建ての3LDK、2戸のみというテラスハウス。もともと住んでいた友人は昨年引越しをしたそうですが、遠藤さんは快適な住環境が気に入り、ここで暮らして丸3年がたちます。

インテリア・スタイリストという職業柄、撮影用の小物など、所有する“もの”は多め。特にキッチンは調理道具から現役のレトロ家電、かわいいパッケージの飲料や調味料までたくさんありますが、バランスよく置かれていて、不思議とゴチャゴチャした印象はありません。

「見せる収納」というより、見せないと収まらないんです(笑)。キッチンボードを買うことも考えましたが、棚をDIYして、ディスプレイも兼ねて置くことにしました

細部までDIYが施されたキッチンDIYした棚にはこだわりのアイテム達が
インテリア雑誌のDIY企画を担当するうち、「いつの間にか、ものづくりが得意になった」という遠藤さん。キッチンにある3つの棚は、どれも「IKEA」の天板を使ってDIYしたもので、収納スペースを確保しています。
ちなみにダイニングテーブルも、「ACME Furniture」で購入したヴィンテージの脚に、「IKEA」のコルクの天板をカットして取り付けた自作。夫婦2人のテーブルにぴったりのサイズ感で、限られたダイニングスペースにフィットしていました。

お気に入りの場所は、リビングと庭

遠藤さんの住まいは、年代も国も素材も決めることなく、自由に盛り込んでいくミックススタイル。お気に入りのリビングにも、いろいろな国の家具や小物が配されています。
たとえば、ソファとして使っているのは、デンマークを代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーのデイベッド。テーブルは、旅先の名古屋で衝動買いしたというイギリスのヴィンテージ。絶妙な高さのスタンドライトは、フランススタイルのインダストリアル家具を扱うショップ「FER TRAVAIL」で購入したもの。

リビングでこだわったのは、照明です。照明が好きでいろいろ買ってしまうんですが、それぞれの照明の高さをそろえないようにして置いています。こうすると、陰影が重なり合って奥行きが出るし、光の見え方が面白いんです

デイベッドとヴィンテージテーブル

そして、いちばんのお気に入りは、やはりこの物件最大の特長でもある庭。ゆとりあるウッドデッキには、自身でリメイクした籐のイスとテーブルを置いて、ちょっとした休憩スペースに。庭全面に人工芝を敷き、木の幹と軒裏にS字フックを取り付けて、ロープタイプの屋外用ライトを吊るしています。さらに、アウトドアブランド「LOGOS」のハンモック、「IKEA」の屋外用ソファをレイアウトして、居心地のいいアウトドアリビングを完成させました。

庭の植物に水やりをするのが日課で、そこから1日が始まります。その時間が、結構好きなんです。ハンモックに座ったり、寝そべったりすることも多いですね。スイッチが切り替わって、一気にオフになります

ベランダのハンモックで寛ぐ遠藤さん
緑溢れる広々とした庭

周りは人通りが少なく程よく建物に囲まれているため、あまり人目は気にならないとか。BBQはさすがに近所迷惑になるので控えているそうですが、「カセットコンロを出して、友人たちと天ぷらパーティーをしました」と笑います。また、これだけ十分な広さの庭があると、作業台を出してDIYをしたり、趣味のキャンプ道具を干したり、実用的な使い方もできて便利だそうです。

そして、センスを感じるのが、壁のかわいいパッチワーク。

ブロック塀の汚れが少し気になったので、DIY企画で大量に余った木材を組み合わせてビスで留めました。賃貸物件なので原状復帰は気になるところですが、上部をフックで引っ掛けているだけなので、簡単に取り外せます

DIYしたパッチワークが庭のアクセントに

大きく枝を伸ばした白樺の木をはじめ、たくさんの観葉植物であふれる庭。慌ただしい都会での暮らしの中、この空間を一人占めしながら、のんびりと太陽の光を浴び、緑に触れる時間がある。それは、とても豊かで贅沢なことのように感じました。

“もの”を生かすディスプレイの仕方

仕事用の小物のほか、自身のコレクションも多いという遠藤さん。特にスノードームとマグネットを集めるのが好きで、国内でも海外でも、旅先では必ず買って帰るのだとか。そういったコレクションはどうしても雑多になりがちですが、どのようにディスプレイすると映えるのでしょうか。プロならではのテクニックを聞いてみました。

飾るスペースを限定してあげるといいと思います。たとえば、棚の上は山モチーフだけ、天井のデッドスペースは民族系の小物だけ……と、場所場所で決めてあげれば、まとまりが出ます。僕はやっていませんが、赤、青、オレンジなど、色で分ける方法もあります。照明を絡ませるのも、雰囲気が出ていいですね

ランプに照らされるスノードームたち
ディスプレイのルールにも注目
また、時計の飾り方も遠藤さんならでは。

時計は、小さいサイズ感が気に入って購入したアルネ・ヤコブセンのもの。アーティスト・Aika Hiranoさんの作品、妻が描いたキャンプのイラストと一緒に飾っています。時計はひとつだけドンと飾ることが多いですが、フォトフレームなど、ほかのものと絡ませて集合体のひとつにすると、見え方が変わって面白いですよ

時計は他のアイテムと組み合わせるのがポイント

ドライフラワーを上手に取り入れているのも、特徴です。ともすれば、ガーリー系、ナチュラル系に偏りやすいドライフラワーですが、ごく自然に空間となじんでいます。

スワッグは、天井のデッドスペースにまとめて飾っています。今日はドライしかありませんが、生花を飾ることも多いです。ただ、花というより、どちらかというと、葉が主役。形に特徴のある葉をベースにして、その中に1輪だけ花をプラスすると、男性でも取り入れやすいと思います

ドライフラワーのスワッグが優しい印象に

住まいは、いろいろな実験ができる場所

インテリア・スタイリストとして、たくさんの空間に向き合い、スタイリングしてきた遠藤さん。そんな遠藤さんにとって、“住まい”とは、どんな空間なのでしょうか。

仕事のスタイリングでも、この家と同じ、いろいろなものを盛り込んでつくるミックススタイルが好きなんです。ここは僕にとって住まいですが、仕事の実験をしている場所でもあります。例えば、ヤコブセンの時計の飾り方も実験のひとつ。仕事で使えるアイデアを模索しながら、自分自身も心地よく暮らせる場所でありたいです

好きなもの、好きなスタイルがありながら、ルールにとらわれることなく、新しいものも柔軟に取り入れ、変化させていく。遠藤さんの住まいには、寛容であり、挑戦的でもある、遠藤さんの人柄そのものが表れているのかもしれません。

■プロフィール
遠藤慎也さん
インテリア・スタイリスト
住まいのタイプ:テラスハウス/築40年/60m2+専用庭20m2/3LDK
夫婦二人暮らし
東京都世田谷区
2017年より居住
Instagram:@bootsyork.style

「BOOTSYORK.STYLE」主宰。インテリア&プロップスタイリスト・窪川勝哉氏に師事した後、独立。雑誌やWEB、広告、ムービーなどのスタイリングのほか、展示会やショップのディスプレイも手がける。最近では、自身の趣味でもあるアウトドアシーンのスタイリングでも注目されている。