[Vol.11]ヒントは日常から。デザインは自分で。DIYで進化させる、自分にとって一番使い勝手のいい家

今回ご紹介するのは福岡県在住のDIYerゆぴのこさんのご自宅です。
全くの初心者から自宅のDIYを始めて、なんと3年で家中まるごとセルフリノベーションしてしまったというゆぴのこさん。しかも、ほぼ新築の一戸建てを躊躇なくDIYしてしまったと言うから驚きです。その様子を公開したブログが人気となり、現在は企業のアンバサダーやワークショップ講師、本の出版など幅広く活躍されています。

「こんにちはー!いらっしゃーい。」と笑顔で出迎えてくれた彼女に導かれて玄関に入ると、もうその瞬間からビンビンに感じるセンス。それでは、中におじゃましましょう。

数々のDIY家具が作り出されるアトリエ

数々のDIY家具が作り出されるアトリエ
数々のDIY家具が作り出されるアトリエ

玄関を入って右奥の部屋が、ゆぴのこさんのアトリエ。この場所で、数々のDIY家具が作り出されています。隣にはテラスがあり、製作用の大きな材料の保管も便利。スライドノコやサンダーなど、電動工具を用いた木くずがたくさん出る作業はテラスで行うそうです。
アトリエにある作業机や工具棚、収納家具など、全てゆぴのこさんのお手製。どんどん増える工具や道具をスッキリと収めるよう、アトリエの収納は定期的に見直しているそうです。おかげで作業スペースをしっかり確保。とても4畳半とは思えません。
作業を想定してこの部屋の床にはタイルカーペットを敷いたため、部屋の原型が残っているのは窓サッシ(外)とエアコンぐらいだそうです。

DIY用の道具やストックもすっきり収納

DIY用の道具やストックもすっきり収納

DIY用の道具やストックもすっきり収納
DIY用の道具やストックもすっきり収納

デザインを思いついたらすぐに作れるよう、細々した材料や端材は常にストック。収納するワゴンも、使い勝手に合わせてジャストサイズでつくられました。小さなビスや釘、パーツ類の保管には、100円ショップのトレイやボトルが活躍しています。長さ1m以内の端材を保管するボックスは、キャスター付きで掃除もしやすいそうです。

木製の窓枠。サイズきっちりに測って木材を組み、ペイントして嵌め込んだ

木製の窓枠。サイズきっちりに測って木材を組み、ペイントして嵌め込んだ
木製の窓枠。サイズきっちりに測って木材を組み、ペイントして嵌め込んだ

日本の住宅は、窓のデザインがいまいち。既存サッシのデザインが気に入らなかったため、サッシの内側にDIYした木製の窓枠が嵌め込まれています。イメージは屋根裏の天窓。こうすることでガラリと室内の印象が変わります。

窓際に並ぶグリーンたちもインテリアのアクセントになっています
窓際に並ぶグリーンたちもインテリアのアクセントになっています
キッチンの食器棚を撤去して見せる収納に変更
キッチンの食器棚を撤去して見せる収納に変更

物を押し込めない方が合っていると感じ、「見せる収納」にシフト。圧迫感のあった食器棚を撤去して、本来食器棚ではないアイアンキャビネットと、その上にガス管と足場板で作った棚を設置しています。
そろそろ処分を検討していた冷蔵庫には、失敗してもいいからと黒くペイントを。意外にもしっくりきて、周囲からも好評なので、処分は延期中だとか。

リビング側から見たキッチンの様子。ディスプレイ収納が活きて、どちらから見ても様になる。奥の出窓周りもぬかりない

リビング側から見たキッチンの様子。ディスプレイ収納が活きて、どちらから見ても様になる。奥の出窓周りもぬかりない
リビング側から見たキッチンの様子。ディスプレイ収納が活きて、どちらから見ても様になる。奥の出窓周りもぬかりない

キッチンカウンターは、もともとあった吊戸棚を外し、こちらも見せる収納棚をDIY。吊戸棚を外した後の電気配線の移設など、専門の資格が必要な作業は、専門家にお願いしました。プロに頼るべきことをしっかり頼るのも、DIYで快適な空間をつくるコツの一つだそう。

出窓周辺やキャビネット、マガジンラックもゆぴのこさんのお手製。インテリアの参考書籍や、ゆぴのこさんの書籍も飾られています。
出窓周辺やキャビネット、マガジンラックもゆぴのこさんのお手製。インテリアの参考書籍や、ゆぴのこさんの書籍も飾られています。
2階の娘さんの部屋。「子ども部屋はDIY率高め」とのこと
2階の娘さんの部屋。「子ども部屋はDIY率高め」とのこと

パイプの飾り棚は既成品ですが、それ以外のベッド、ベッド横のサイドボード、ベンチ、チェストなどはDIYしたもの。既成品と合わせても違和感がなく、そのクオリティーとセンスには惚れ惚れするほどです。以前の子ども部屋は「ぶりぶりの姫部屋」だったそうですが、娘さんの趣味に合わせてシックな男前インテリアに変更しました。ベッドは使っていたものをリメイク。このリメイク方法はゆぴのこさんの書籍で公開されています。

2階の寝室。こちらも写真で見える家具は全てゆぴのこさん作
2階の寝室。こちらも写真で見える家具は全てゆぴのこさん作

全ての部屋は、それぞれ異なるテーマで製作されています。例えば寝室は「アフリカン」をイメージ。
真ん中のローテーブルは、海岸に落ちていた流木を拾ってきて材料にしました
大きなたらいで重曹と一緒に漬け込んでアク抜きし、さらに天日干しでしっかり乾燥させます。手はかかりますが、味のあるものが仕上がります。興味のある方はぜひ、夏の海岸でちょうどいいサイズの流木を探してみてください。

DIYスタートの背景は?

この家は、2012年にゆぴのこさんが「自分で建てた」もの。なんと、ハウスメーカーや工務店に頼らず、自身で職人さんを手配して作ってもらったのだとか。のっけから「そんな建て方があったのか!」と衝撃を受けましたが、「実家がそうやって建てていたので。」と事もなげな様子。
とはいえ、当時インテリアには今ほど興味がなく、仕事も忙しく、家づくりはほとんど職人さんにお任せ。「お願いしたのは、『天井を高く』と『窓を大きく』くらい」とのこと。

家具をつくることを目標に、DIYを始めた

住みはじめてみると、やっぱり少しずつ気になるところが出てきます。家を建てた時、自宅兼仕事場にしたことも要因の一つ。家にいる時間が長い分、「もっとこうだったら」が溢れてきたと言います。
特に、家具の好みが変わり、全て買い換えたくなってしまい、でも家を建てたばかりで、そんなお金は残っていない…。そこで、家具をつくることを目標に、DIYを始めたそうです。
急に難しいことをやって挫折しないように、まずは簡単なものから。100円ショップ材料を組み合わせて、ビス止めや釘打ちの練習を開始します。それらを組み合わせて雑貨を作り、同時に家の中も少しずつ手を加え始めました。工具を買い、どんどんDIYにハマり、気づけば今は自分で作った家具の販売もしています。

リビングにある家具も、ソファと雑貨以外はほぼDIY。

リビングにある家具も、ソファと雑貨以外はほぼDIY。人が集まるリビングは、みんなが使いやすいよう、物は必要最低限にしています。華奢な脚の家具で統一するなど、空間を広く見せる工夫も。

「自分の『好き』にやる」

生活感の出やすい洗面脱衣スペースも、トーンを揃えてスッキリと。なんと独立型洗面台の上部を外して、木製の鏡付き収納棚と好みのライトが取り付けてありました。上を取り外せるなんてびっくり。それに、ピカピカの新しい設備に手を加えるのは、ふつうはちょっと躊躇してしまいそう。でもゆぴのこさんは「人の手で取り付けられたものは、人の手で外せるでしょう?」と。もし失敗しても、修正する方法はいくらでもあるので、とりあえずやってみたいことはやるそうです。

まるでホテルのような洗面脱衣スペース。
まるでホテルのような洗面脱衣スペース。
まるでホテルのような洗面脱衣スペース。
写真左:独立洗面化粧台  写真右:トイレ

手前の独立洗面化粧台は、上部を外し、自作の鏡とライトを設置。もちろんその時壁紙も張替えます。トイレもシックな紺色とワイヤーラックで抜かりなく。

「とりあえず、壁紙から」

「部屋の模様替えをする時は、まず壁紙から」とゆぴのこさん。理由は、大きな範囲が変わると、部屋のイメージがそれだけでガラリと変わるから。各部屋の壁紙は、既に何度か張替えられています。
日頃から海外の店舗や倉庫、ホテルなどのインテリア写真をたくさん見て、イメージを頭の中にストック。見るのは住宅以外の写真が多めで、「より現実離れした空間」を目指しているそうです。

国産壁紙も最近は種類が増えてきましたが、おしゃれなものは海外製品の方が豊富。国内で輸入壁紙を購入できる店も多数あります。ですが、ゆぴのこさんの入手方法はなんと、海外から直接個人輸入!国内で販売されている輸入壁紙は、人気のものは人と被ってしまうこともあるようです。「それに、海外のものは、海外で買ったが安いですよ?」とにっこり。
お気に入りはドイツの壁紙だとか。

アトリエの一面の壁紙は不均質なレンガ調。

アトリエの一面の壁紙は不均質なレンガ調。独自の世界観や好きなもの求めた結果、あえて個人輸入に。ちなみに国産ビニールクロスの感覚だと、海外の壁紙は高価なものが多い

(左)海外から取り寄せた雑貨と、インポートの絵画(国内購入)をコーディネート (右)フランス産のアンティークチェア
(左)海外から取り寄せた雑貨と、インポートの絵画(国内購入)をコーディネート (右)フランス産のアンティークチェア

「『気になるところ』に目をつぶらない」

ゆぴのこさんがDIYでつくるものは全て、彼女の日常生活の「あったらいいな」や「ここが不便だな」をヒントにできるものばかり。だから、彼女の家のインテリアはただオシャレなだけじゃなく、彼女の暮らしにぴったりフィットしています。

ブログの読者やファンの方の希望に応え、オーダー家具や雑貨の販売を手がけつつも、「自分の暮らしに合わせてもっとみんなにDIYを楽しんでもらいたい」というのが本音。ワークショップに精力的なのは、そんな想いから。

「キッチンの動線も、私だからこれがいい。他の人にもいいとは限らないんですよね。自分で考える、自分でやるのがDIYの醍醐味」とゆぴのこさん

「キッチンの動線も、私だからこれがいい。他の人にもいいとは限らないんですよね。自分で考える、自分でやるのがDIYの醍醐味」とゆぴのこさん

気に入ってる箇所・失敗した箇所を聞いてみました

気に入ってる場所は家じゅう全部。失敗なんて毎日!

気に入ってる場所は家じゅう全部。失敗なんて毎日!

「失敗なんて毎日してますよ!」と笑うゆぴのこさん。最初はうまく貼れず、お気に入りの壁紙がしわしわになったり破いてしまったり、サイズを測り間違えて寸法が合わないなんてことはしょっちゅうあったそうです。でも、何度か練習すれば壁紙は誰でもうまく貼れるようになるし、リカバリーできるのもDIYの醍醐味。できあがりだけでなく、作業の過程全てを楽しんでいるようです。
「失敗」ではありませんが、DIY家具は何年かすると木材が縮んだり膨張したりと、多少は形が変わるもの。ある程度の妥協も必要だとか。もし妥協できなければ、材料を再利用してまた何か新しいものをつくると話します。

「一番お気に入りの場所は?」の質問には、「選べません!」との答え。何度も何度も手を入れて、自分が好きな空間を作り上げているので、今は家じゅう全部がお気に入りの場所だそうです。

次に挑戦するものは愛犬のためのもの

次は、加齢のためお気に入りの茶色いソファに登れなくなってきた愛犬レオくんのために、同色の2wayベッドを考案中とのこと。完成が楽しみです。

 

DIYの情報や道具は?

DIY用の工具は一通り持っているゆぴのこさん。普段のこぎりなどは使わず、電動工具をヘビーユース。
特にお世話になっているのはmakitaのスライドノコ。大量の木材のカットも、これのおかげで簡単にできるそう。
DIY用品の購入はもっぱら近所のナフコとコメリパワー。少し遠出するときは、カインズも利用。

作り出すもののデザインや構造などは全て、ゆぴのこさんの頭の中から。
とはいえ、初めは初心者向けのDIY本を読み、「モノがどうやって作られるのか」「材料や道具にはどんなものがあるのか」を知るところから入りました。家具屋さんを巡って、気に入った家具の構造を見て回ったり、地道な実地調査もしたり。
一通り工程を把握して、やってきた数々の製作経験が、今や彼女の情報源。
また、Pintarestなどで見る海外のインテリア写真を、コーデイネートに活かしています。

リビングの全体感

 DIY Mag編集部の感想

みなさんは、ご自身の住まいを好きになるためにどんなことをしていますか?
住んでいれば、少し気になるところや気に入らない箇所が目についてくるもの。
センス抜群のスタイリングに目が行きがちですが、ゆぴのこさんのDIYの根底には「大好きな家で過ごしたい」という想いがあるのだと感じます。
目を瞑ってそのままにしておくか、好きになれるよう何か行動を起こしてみるか。
できたら後者を選びたいな…そんな風に思えた取材でした。


■概要

・ お名前:ゆぴのこさん
ゆぴのこのHAPPY+HOME
・ 住まい形態:新築一戸建て
・ 間取り:5LDK
・ DIYした箇所:全て
・ かかった時間:3年
・ かかった費用:何度も変え続けているので、不明
書籍「yupinoko’s DIY&INTERIOR STYLEBOOK」には、ゆぴのこさん考案のDIY家具(35作品!)のレシピが惜しみなく公開されています。

文:山口敦子
写真:田川翔一

LIFULL HOME'S DIY Mag編集部

DIY, self build and renovation, life style web magazine from LIFULL HOME'S.