[Vol.4前編]賃貸住宅を丸ごとセルフリノベ!男同士のルームシェア

「自分たちで賃貸マンションの壁を壊して間取りを変えて、天井を抜いた。インナーバルコニーも作った。そこで男子4人で改装しながらルームシェアをしています。」

思わず聞き返したくなるようなことを実施し、叶えたい暮らしを自ら作り、手に入れた人たちがいます。住む人の個性を活かしながらも、シェアすることを意識したお部屋は彼らだからこそ生まれた空間になっていました。セルフリノベの域を超えたと言ってもまったく過言ではない彼らの部屋づくりを2回に分けてご紹介したいと思います。

ルームシェア部屋

コンペがきっかけで始めた部屋づくり

この部屋のトータルプロデュースをし、今現在住んでいる織戸さんは、美術大学で建築を専攻。卒業後は建築事務所に勤め、様々な物件を手がけてきました。
仕事をするなかで 「自分が住みたい空間を作って実際に住んでみたい」と思い始めた織戸さん。そんな時にちょうど“実際にある賃貸物件をリノベーションし、住む”というコンペの存在を知りました。そのコンペで織戸さんは“自分たちで施工する、男友達と住む秘密基地”を提案し、見事特別賞に入賞しました。

コンペに提出した企画書
コンペに提出した企画書

提出した企画書には、住む人のキャラクターを活かした部屋作りについて書かれています。
この部屋の特徴のひとつは“完成がない”こと。「住む人に合わせた改装を続けることで日々進化していくからです。遊び心を持った大人が集まり、創り上げていく宝物。それが僕らの秘密基地という名の住まいです。」と織戸さんは教えてくれました。
しかし部屋面積などの都合上、そのコンペでのリノベーションは叶わず。代わりに、審査員として参加していた青木純さんが、当時大家を務める賃貸マンション“ロイヤルアネックス”で実現することになったのです。

ロイヤルアネックスは、入居者が壁紙を選べる“カスタムメイド賃貸”や、内装からキッチン、お風呂などの設備まで自由に施工できる“オーダーメイド賃貸”サービスをおこなっている、賃貸とは思えないほど自由度の高いマンション。(取材当時)
そこに入居が決まり、織戸さんとルームメイトの“自主計画、自主設計、自主施工”の部屋づくりが始まりました。

間取りを変えてまで部屋をつくったワケ

「ロイヤルアネックスへの入居が決まった時は3人でルームシェアをするつもりでした。しかし、それには家賃がちょっと高かったので、4人で住もう、と決めました。人数が増えたことで部屋を増やす必要ができ、間取りを変えなきゃってなったんです」
シェアメイトの人数が増えたらから間取りを変える、という選択肢はなかなか選べないもの。仕事柄図面を引ける、ある程度施工の知識もあるしそれに携わっている知人もいる、そして協力してくれる大家さんがいることが決定打になったようです。もちろん根底には“自分が住みたい空間を作りあげたい”という思いの強さがあります。
図面

織戸さんが引いた図面。部屋が増え、インナーバルコニーができていることがわかります。これはシェアハウスにありがちな脱法ハウスにならないようにという工夫でもあります。
「改装にあたって大家さんからお願いされたことは2つ。脱法ハウスにならないように居室面積や窓の配置を守ること。もうひとつは、改装をすることで部屋に付加価値が出ることです。」賃貸マンションは人が住み継いでいくもの。次の人が住みたくなるような部屋づくりをするのは、プレッシャーながらもカスタマイズ賃貸のあるべき姿とも言えます。

解体作業中の様子

約1ヶ月かけておこなった解体作業をしてる様子。賃貸住宅に住もうとしている様子だとは信じがたいほどの本格的な現場写真です。

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インナーバルコニーと壁を作っている様子。

内装工事の様子

約2ヶ月かけた内装工事の様子。水周りなど施工業者がすべき部分以外、壁紙、床貼り作業はもちろん、部屋を区切る壁からインナーバルコニー作りまですべてを自分たちでおこなっています。

キッチン

オークションで格安で落札したキッチン。なんと織戸さんが背負って部屋に持ってきたそう。

完成後の部屋

約4ヶ月の作業の末に完成した部屋。現在、とても素敵な空間に仕上がっているのですが、織戸さんたち曰く「まだ3割程度しか完成してない」とのこと。“住む人に合わせて日々進化(改装)する”のがコンセプトとわかっていても、これで3割とは驚きです。10割になったら一体どんな部屋になるのでしょうか。
現在の部屋の詳しい様子は後編でご紹介します。

大変だったことは?

大変なことばかりだったかと思いますが、特に思い出深いエピソードをうかがいました。
「部屋完成を目前にして、洗濯機の高圧洗浄をしたら逆噴射してしまったんです。業者さんもずぶ濡れになるし、洗面場は水浸し。貼り終わったばかりの廊下の床が浸水しそうでドキドキしました。」

気をつけたこと

「昼間は働いているので、その間に知り合いの大工さんや業者さんに水周りや電気回りなど、自分たちではできない部分をやってもらいました。夜はやっぱり大きな音を出すと近所迷惑になってしまうので、廃材を片付けたり図面を書いたりといった作業をしましたね。」
また、壊さないとわからない寸法もあるそうで、その計測や材料の発注作業といった細かい作業を夜間にあてていたそうです。

ルームシェアをすることで理想の暮らしを叶える

シェアハウスメンバー

写真左から出屋敷さん、織戸さん、小田さん。取材の日には仕事の都合でお会いできなかった小笠原さんを含めた4名でルームシェア生活をしています。
男同士でルームシェア、その部屋を自分たちで作る。そんな夢のある壮大な計画に加わった住人さんはどんな思いで参加したのでしょうか。

「仕事柄、図面を引くことは多いけれど、実際にその図面を元に手を動かして空間を作ることはないんです。せっかくなら、自分の手で部屋を作ってみたかったんですよね。」と言う、建設会社に勤める出屋敷さん。

「僕はオーリー(織戸さん)がコンペに出した時から、ルームシェアに興味があったんです。今後の住まいの形態として絶対に大きなジャンルとなるだろうと前々から感じていました。仕事でお客さんに、空間をシェアする形態を提案することもあります。そのとき実際に自分が体験していたら、より説得力が増すだろうなと考えました。」

道模型がディスプレイされたまさに趣味部屋

そんな出屋敷さんのお部屋は、鉄道模型がディスプレイされたまさに趣味部屋。テーマは“模型屋さんのバックヤード”だそうです。

住み始めて3ヶ月の小田さんは、共通の知人を通して入居を決めました。
「ちょうど入居のお誘いを受けた頃、一人暮らしに飽きてきてシェアハウスに住みたいなと思っていた時でした。ここに住み始めてから、ルームメイトとの関わりはもちろん、ロイヤルアネックスの住人さんたちとの交流やイベントがあって刺激的な毎日を過ごしています。」と話してくれました。

シェアハウス部屋一部・和室

小田さんのお部屋は元和室。その作りを残しながらも洋室テイストを加えた空間になっています。
それぞれのキャラクターが活きた部屋の全貌は後編で詳しくお伝えします。

HOME’S DIY Mag編集部の感想

賃貸住宅とは思えない大改造を目の前にしてただただ「すごい」と連呼してしまう、衝撃的なお部屋でした。ご本人たちはこの大それた作業をさらりと説明してしまう軽やかさを持っていたことも印象的です。彼らはセルフリノベをすることを目的にしていなく、あくまで理想の暮らしを叶えるための“手段”としておこなったのだなと感じました。


■概要
お名前:織戸龍也さん、出屋敷嘉亮さん、小田晃洋さん、小笠原主さん
居住形態:ルームシェア(4名)
住まい形態:賃貸マンション
間取り:4LDK
DIYした場所:水周りの施工以外の壁、床、天井、インナーバルコニー
かかった時間:約4ヶ月(解体1ヶ月、施工2ヶ月+逆噴射事件でストップ1ヶ月で4ヶ月)
かかった費用:450万〜500万 (現在進行形)
※取材時点2016年7月の情報です。
文・写真:戸田江美

LIFULL HOME'S DIY Mag編集部

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