自分らしさを盛り込んだリノベーション物件、オリジナリティが感じられる部屋など、こだわりの住まいに暮らす人々にインタビューする企画「わがままな住まい」。その人のライフスタイルとともに、家づくりから住まいに対する価値観まで伺います。
今回ご登場いただいたのは、インテリア・スタイリストとして活躍中の遠藤慎也さん。東京23区内でありながら、約20m2の庭を有する希少な賃貸物件に暮らしています。住まいのこだわりはもちろん、プロならではのスタイリング・テクニックについても伺いました。
庭との一体感を感じる希少物件
東京都世田谷区。静かな住宅街の中に佇む築40年のテラスハウスが、遠藤慎也さんの住まいです。インテリア・スタイリストとして、雑誌や広告、ムービーのスタイリング、ショップや展示会のディスプレイを行っている遠藤さん。最近では、キャンプなどアウトドアシーンのスタイリングでも活躍する人気スタイリストさんです。
リビングにお邪魔すると、窓の向こうに見えるのは、緑豊かな開放感たっぷりの庭。遠藤さんの住まいは、希少な庭付きの賃貸物件なのです。
2階建ての3LDK、2戸のみというテラスハウス。もともと住んでいた友人は昨年引越しをしたそうですが、遠藤さんは快適な住環境が気に入り、ここで暮らして丸3年がたちます。
インテリア・スタイリストという職業柄、撮影用の小物など、所有する“もの”は多め。特にキッチンは調理道具から現役のレトロ家電、かわいいパッケージの飲料や調味料までたくさんありますが、バランスよく置かれていて、不思議とゴチャゴチャした印象はありません。
インテリア雑誌のDIY企画を担当するうち、「いつの間にか、ものづくりが得意になった」という遠藤さん。キッチンにある3つの棚は、どれも「IKEA」の天板を使ってDIYしたもので、収納スペースを確保しています。
ちなみにダイニングテーブルも、「ACME Furniture」で購入したヴィンテージの脚に、「IKEA」のコルクの天板をカットして取り付けた自作。夫婦2人のテーブルにぴったりのサイズ感で、限られたダイニングスペースにフィットしていました。
お気に入りの場所は、リビングと庭
遠藤さんの住まいは、年代も国も素材も決めることなく、自由に盛り込んでいくミックススタイル。お気に入りのリビングにも、いろいろな国の家具や小物が配されています。
たとえば、ソファとして使っているのは、デンマークを代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーのデイベッド。テーブルは、旅先の名古屋で衝動買いしたというイギリスのヴィンテージ。絶妙な高さのスタンドライトは、フランススタイルのインダストリアル家具を扱うショップ「FER TRAVAIL」で購入したもの。
そして、いちばんのお気に入りは、やはりこの物件最大の特長でもある庭。ゆとりあるウッドデッキには、自身でリメイクした籐のイスとテーブルを置いて、ちょっとした休憩スペースに。庭全面に人工芝を敷き、木の幹と軒裏にS字フックを取り付けて、ロープタイプの屋外用ライトを吊るしています。さらに、アウトドアブランド「LOGOS」のハンモック、「IKEA」の屋外用ソファをレイアウトして、居心地のいいアウトドアリビングを完成させました。
周りは人通りが少なく程よく建物に囲まれているため、あまり人目は気にならないとか。BBQはさすがに近所迷惑になるので控えているそうですが、「カセットコンロを出して、友人たちと天ぷらパーティーをしました」と笑います。また、これだけ十分な広さの庭があると、作業台を出してDIYをしたり、趣味のキャンプ道具を干したり、実用的な使い方もできて便利だそうです。
そして、センスを感じるのが、壁のかわいいパッチワーク。
大きく枝を伸ばした白樺の木をはじめ、たくさんの観葉植物であふれる庭。慌ただしい都会での暮らしの中、この空間を一人占めしながら、のんびりと太陽の光を浴び、緑に触れる時間がある。それは、とても豊かで贅沢なことのように感じました。
“もの”を生かすディスプレイの仕方
仕事用の小物のほか、自身のコレクションも多いという遠藤さん。特にスノードームとマグネットを集めるのが好きで、国内でも海外でも、旅先では必ず買って帰るのだとか。そういったコレクションはどうしても雑多になりがちですが、どのようにディスプレイすると映えるのでしょうか。プロならではのテクニックを聞いてみました。
また、時計の飾り方も遠藤さんならでは。
ドライフラワーを上手に取り入れているのも、特徴です。ともすれば、ガーリー系、ナチュラル系に偏りやすいドライフラワーですが、ごく自然に空間となじんでいます。
住まいは、いろいろな実験ができる場所
インテリア・スタイリストとして、たくさんの空間に向き合い、スタイリングしてきた遠藤さん。そんな遠藤さんにとって、“住まい”とは、どんな空間なのでしょうか。
好きなもの、好きなスタイルがありながら、ルールにとらわれることなく、新しいものも柔軟に取り入れ、変化させていく。遠藤さんの住まいには、寛容であり、挑戦的でもある、遠藤さんの人柄そのものが表れているのかもしれません。
■プロフィール
遠藤慎也さん
インテリア・スタイリスト
住まいのタイプ:テラスハウス/築40年/60m2+専用庭20m2/3LDK
夫婦二人暮らし
東京都世田谷区
2017年より居住
Instagram:@bootsyork.style
「BOOTSYORK.STYLE」主宰。インテリア&プロップスタイリスト・窪川勝哉氏に師事した後、独立。雑誌やWEB、広告、ムービーなどのスタイリングのほか、展示会やショップのディスプレイも手がける。最近では、自身の趣味でもあるアウトドアシーンのスタイリングでも注目されている。