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一軒家をセルフリノベーション。DIYでおうち時間がもっと豊かに|こだわりの部屋づくりvol.36

一軒家をセルフリノベーション。DIYでおうち時間がもっと豊かに|こだわりの部屋づくりvol.36

お気に入りの家具やインテリア、DIYやカスタマイズ、賃貸でも購入物件でも自分らしさに妥協したくない。そんな部屋づくりにこだわった人たちを紹介する「こだわりの部屋づくり」シリーズ。
今回ご紹介するのは、東京都西東京市にお住まいの平塚剛史さん・緑川彩さんご夫妻の部屋です。一軒家をセルフリノベーションした際のエピソードや、お気に入りのアイテムについてお話を伺いました。

木をうまく使ったセルフリノベーションで暮らしを最適化

家具職人である平塚さんと、編集者である緑川さんご夫妻。2年半前、一緒に住む際にお二人が重視したのは、「DIY可」の「一軒家」という条件でした。築45年のこちらの物件は、予算内だったこともあり即決したのだとか。大きな公園が近く、自然が身近なところも気に入っています。

木の素材感にこだわり、棚や家具をDIY

セルフリノベーションの魅力は、色や素材を自由に決められること。お二人の根本には、「木をうまく使いたい」という思いがあるそう。

緑川さん「編集者という仕事柄、人の家を取材することも多く、過去に100軒以上を見てきました。セルフリノベーションは『暮らしを自分に最適化できる』と感じています」
平塚さん「僕は素材にこだわりが強くて。この家には昔からの木材も多く、素材感が気に入っています」

木を使う仕事をしている平塚さん。木の素材感にこだわりつつ、大小さまざまなものをDIYしています。

平塚さん「家は仕事の実験場のようなもの。このプランタースタンドも、『こういうアイテムをつくったらどうなるかな』とイメージしながら、まさに実験としてつくりました」

お気に入りのアイテムは大きな木の器とキッチンペーパーホルダー

夫がつくった木の器

緑川さんのお気に入りは、大きな木の器。ご主人が誕生日プレゼントとしてつくってくれたものです。

緑川さん「フルーツやドライフラワーを置いています。存在感があるところが気に入っています」

自作したキッチンペーパーホルダー

平塚さんのお気に入りは、自作したキッチンペーパーホルダー。置いたり吊るしたりできる優れものです。使い心地のよいアイテムを生み出せるのも、家にいながら常にアンテナを張っているからこそ。

平塚さん「自分でアイデアを考えてつくりました。普段からデザインを描いたりしています」

空間ごとのポイント

秘密基地のようなリビング

約4mもの高さがある、開放感あふれる天井。梁から吊るし宙に浮いた本棚が、まるで秘密基地のよう。「吹き抜けの空間に本棚を浮かせたらどうだろう」というアイデアを実験した、こだわりの空間です。

平塚さん「この家でやってみたかったことの1つです。壁全体が本棚で、そこにソファがある空間。雑誌や映画で見て、実現してみたかったんです」

大がかりなDIYだけでなく、誰にでもできる身近なアイデアも。たとえば、ダクトレールを活用して電球やドライフラワーを吊るすのは、DIY初心者にもおすすめ。生活感が出やすいエアコンも、塗装するだけで簡単に雰囲気を変えられます。

平塚さん「ラッカースプレーで塗るとツヤがなくなり、壁との一体感が増します。あくまで自己責任でやってみたのですが、塗っても性能には問題ないと感じています」

緑川さん「カーテンレールも既製品ではなく、皮を打ち付けて留め具にしました。くるくる丸め、ネジで留めるだけです」

コレクションを見せる飾り棚

ご夫婦そろって器や雑貨を集めるのが好きとのこと。「見せる収納」が家のあちこちにあり、コレクションがいくつも飾られています。

緑川さん「このビール瓶は、外国に行ったときに買ったもの。ラベルがかわいいので飾っています。花瓶は、古道具店で購入しました。なんでもない錆びた瓶を、自分で白く塗っています」

オープン収納にリノベーションしたキッチン

見せる収納はキッチンにも。背面をブルーに塗った飾り棚に飾られているのは、お気に入りの器たち。暮らしの変化に合わせ、棚を増やしてきました。

緑川さん「器を買うのが趣味。器が増えるたび、『次はどこに棚をつくろうか』と相談します」

照明は、以前住んでいた方が残したものに黒のカラースプレーで塗装。家電やキッチンツールとも色味がマッチしています。カラーコーディネートは、お二人で相談しながら決めたそう。

平塚さん「今あるものを生かしてうまくやる、というのも得意です」

オープン収納に憧れて、キッチン上部に板を3枚取り付けました。1番下の棚板には、キッチンツールを吊り下げられる工夫も。

緑川さん「もともとキッチンは広かったのですが、棚を拡張したことで料理しやすくなりました。『次はどこを変えたい?』とよく話し合っています」

漆喰と木のクローゼット

こちらのクローゼットは、緑川さんがこだわった場所。左官職人がつくる漆喰の壁の表情が好きで、自分で塗ってみたかったそう。

緑川さん「ハンガーパイプを木の枝にしたくて。アパレルショップみたいな雰囲気が実現できて満足です」

部屋づくりの過程

お互いのアイデアを持ち寄る

物件が決まった後、まずはお互いが理想とする家のイメージを擦り合わせました。アイデアを持ち寄る際に活用したのが、Pinterestのグループボード機能です。

緑川さん「雑誌やInstagramも参考にしました。あとは、お互いの仕事で得た経験を生かしています。この家は『今までの集積』です」

天井を塗る

入居前のフリーレント期間を活用し、まずは天井の塗装からスタート。山小屋のような雰囲気を変えるため、全面を白く塗り替えました。家がいっそう明るく、広く感じられます。

平塚さん「梁に上って作業しましたが、思ったより大変で。途中でくじけそうでした(笑)」
緑川さん「天井を塗るときは、自分にかかってしまうんですよね。ゴーグルや髪も真っ白になりながらやりました」

壁を塗る

天井の次は壁を塗りました。寝室として使う小上がりの和室には、落ち着いたトーンのブルーを選択。100円ショップで青、黒、グレーなどの塗料を購入し、自分で混ぜ合わせたそうです。こだわりの色を自作しつつ、安く抑えるためのテクニックです。

セルフリノベーションのエピソード

家具は、住んでみて必要だと感じた場所に随時DIYしていきました。しかし、空き家のセルフリノベーションには楽しいだけはない一面も。

緑川さん「虫は多いし、夏暑く冬寒い。DIYも塗るのは楽しいけど、面積が広いと大変です。木の粉や木片も飛び散ります。あとは、大きな木材を運び込むのにいつも苦労しています」

また、キッチン・お風呂・トイレなど、水回りの設備はある程度妥協せざるを得なかったそう。

平塚さん「水回りを替えようとすると、多額の費用がかかるので大変です。そこだけは最初からこだわって選んだほうがいいですね」

セルフリノベーションで「おうち時間」がもっと豊かに

以前は都心に住み、休日は外でアクティブに活動することが多かったという緑川さん。今は家で過ごすことが増え、ライフスタイルが大きく変わったと感じています。激務だという平塚さんも、この家に住み始めてからは「おうち時間」がさらに豊かになったそう。

平塚さん「僕は最近、植物を始めました。ビカクシダが好きで、壁に飾っています。この家は釘もいっぱい打てるし、どこでも好きなように手を加えられる。楽しく暮らせています」
緑川さん「今まで家は『ただ寝る場所』だったけれど、植物の手入れやDIYのために時間をつくるようになりました。家が好きだから家に時間をかけよう、という意識が生まれています」

普段は、ソファや和室でのんびり過ごすことが多いというお二人。今後はこのソファ周辺の空間を拡充したいとのこと。新しいソファをつくり、プロジェクターを使った「おうちシネマ」を楽しみたいと話してくれました。

これから部屋づくりを始めたい方へ

最後に、お二人にとってセルフリノベーションとは何かをお聞きしました。

緑川さん「セルフリノベーションやDIYは自分について知るきっかけだと思っています」
平塚さん「僕にとっては、自分の作品の実験をしたり、いろいろ試したりすることかな。トライ&エラーをしながら、よりよくしていきたいです」

さらに、これからセルフリノベーションを始めたい方に向けてメッセージもいただきました。

平塚さん「できることからやってみる。今は、プロが動画などでノウハウを公開していて、情報がたくさんあります。恐れずにやってみるといいと思います」
緑川さん「セルフリノベーションをすると、暮らしを前向きに楽しもうという気持ちになります。前向きかつ前のめりに、いろんなことに挑戦してみてください」

■プロフィール
平塚剛史さん、緑川彩さん
Instagram:mikiri_hassya_no_ie
年齢:34歳(平塚さん)、32歳(緑川さん)
仕事:家具職人(平塚さん)、編集者(緑川さん)
エリア:東京都西東京市
間取り:2LDKの一軒家