お気に入りの家具やインテリア、DIYやカスタマイズ、賃貸でも購入物件でも自分らしさに妥協したくない。そんな部屋づくりにこだわった人たちを紹介する「こだわりの部屋づくり」シリーズ。
今回ご紹介するのは、リノベーション済みの団地にお住まいのplus9_lifeさんです。plus9_lifeさんの部屋のコンセプトは、「白は正義」。ブライトホワイトをベースに木の家具を取り入れた、シンプルかつ温かみのある雰囲気です。
この部屋に引越しをしてからDIYを始めたというplus9_lifeさん。見た目と実用性を兼ね備えたお気に入りのアイテムや部屋づくりの過程、DIYのコツについてもご紹介します。
1.コンセプトは「白は正義」
plus9_lifeさんは過去に4~5回引越しをしましたが、現在の部屋に住む前は通勤のしやすさなど利便性を基準に部屋を選んでいました。以前住んでいた部屋から引越しするために次の部屋を探していたとき、たまたま無印良品のリノベーション済み物件に出合います。
部屋の中が理想的だったので、即決でした。この部屋を内覧したときに、今の部屋のイメージがもう頭にありました
plus9_lifeさんがこの部屋を即決した決め手は3つあったそうです。
1つ目は、1LDKながら広々とした空間であること。もともとは家族向けの3DKだった団地の一室を、壁を取り払って1LDKにリノベーションしてあったそうです。約50m2という余裕のある空間は、plus9_lifeさんの理想どおりだったとか。
2つ目は、白い壁の美しさ。賃貸物件によくある凹凸のついた壁紙ではなく、コンクリートの壁を塗装した白い壁が気に入っているそうです。白い壁を生かすため、無垢材のインテリアを主に取り入れながら、シンプルで温かみのある雰囲気に仕上げています。
3つ目は、広々としたキッチン。広い空間を見た瞬間、DIYしたいという意欲が湧いたそうです。
生活自体をシンプルに。白と無垢材を組み合わせたナチュラルインテリア
「生活自体をシンプルに」というのが、plus9_lifeさんが掲げる暮らしのコンセプト。それを体現するのが「白」という色でした。
『白は正義』というのが基本にあります。ブライトホワイトというか、純白に近い白は、部屋が明るくなりますね
この部屋に引越しをしたとき、真っ白な空間をつぶしたくないと感じたplus9_lifeさん。「白」にくわえて木の質感も好きなため、家具はほとんど無垢材で揃えています。DIYを始めたのは、サイズや色味を好みにできるだけでなく、質感にもこだわりたかったから。
市販の木の家具はだいたいニスが塗ってあって、テカテカしています。あれが苦手で。自分でつくるとそのツヤを全部自分でコントロールできるのでいいですね
シンプルに暮らすことを意識していますが、生活感のない部屋や極端にものが少ないミニマリストは目指していないそうです。
生活している以上は、生活感が出るものだと思っています。それをなくしてしまうと、逆に不自然になってしまいます。ただ、1個1個のアイテムをコンセプトに合わせて揃えれば、統一感を出すことはできます。色味を揃えるのも大事ですね
2.光が通り抜けるキッチンとDIYしたアンティーク風のPCデスクがお気に入り
空間を生かし、光が通り抜けるキッチン
plus9_lifeさんのお気に入りは、部屋づくりの第一歩として取り組んだキッチン。もともと壁には何も付ておらず、シンクの下も空間が広く空いていたそう。光を通すためにあえて側板を付けないで収納棚をDIYしました。
収納棚をDIYする際は、光を遮らないよう意識しました。イメージどおりできているので、気に入っています
キッチンの壁には、ディアウォールで2×4(ツーバイフォー)材を取り付け、調理器具を吊り下げて収納できるようにしています。包丁は木材にマグネットを取り付け、くっつくくように工夫しています。
また、キッチンとリビングの間は間仕切りを取り付けられるようになっていましたが、plus9_lifeさんはあえてここに何も付けないという選択をしました。
空間がもったいないと感じたので、間仕切りをせずに、上部だけ収納にしました
苦労してつくったアンティーク調のPCデスク
もう1つお気に入りのアイテムとしてplus9_lifeさんが挙げたのは、DIYしたPCデスク。スタイリッシュな細い脚と、アンティーク調の見た目が印象的です。27インチの大きなiMacを置くために、DIYしたそうです。
日本製の市販のデスクは、奥行きが60cmのものが多いです。それだと奥行きが足りず画面が見づらいので、奥行き75cmになるようにDIYしました
引き出しを初めてつくりましたが、意外と上手くいったのでお気に入りですね。部屋の雰囲気にかなり合わせられました。見た目は古道具店で買ってきたような感じに仕上げています
デスクの横にあるガラス戸の棚もDIYしたもの。ここには趣味でもあるコーヒー関係の道具をしまっています。試行錯誤と改善を重ねながら、機能性や実用性、そのとき自分が好きなスタイルを追求しています。
集中して作業できるのはテレビを置いていないから
plus9_lifeさんは現在、ブログに力を入れており、PCデスクで作業する時間が長いそう。そのため、集中して作業できるデスクはお気に入りの場所。また、部屋にテレビを置いていないことも、集中できる要因です。
テレビは10年以上、部屋に置いていないですね。テレビを見ない人間なので。テレビを置かないことで、部屋の自由度が上がっています
3.空間ごとのポイント
キッチンはオープン収納で機能性重視
plus9_lifeさんは自炊することが多いため、キッチンは機能性を重視。ワンアクションでものが取れるように収納を工夫しています。
DIYした扉のないオープン収納は、いちいち扉を開けて探さなくていい。見えているので、すぐに手が届くところが気に入っています
キッチン下部の収納棚は、全ねじタイプの寸切ボルトでDIY。寸切ボルトを板の間に挟んで、ナットで締めると棚になります。高さも棚板も自分で好きなように調整できるので便利です。
扉がないため雑然としそうなオープン収納ですが、plus9_lifeさんは見せるものと見せないものを明確に分けることで、すっきりさせています。見えるところに置くものは食器と調味料だけで、配色にもこだわりました。一方、生活感が出やすいタッパーなどは、黒いボックスに入れています。
押し入れだった場所をDIYしたクローゼット
Instagramでも反響が多かったのが、押し入れのあった場所をDIYしたクローゼットです。押し入れだった空間は、最初何もなかったのですが、柱を立て、天井近くにつっぱり棒を取り付けました。掛けた洋服が正面を向くようあえてつっぱり棒を縦にし、手前から奥に向かって収納しています。クローゼットには扉が付いていないため、洋服の雰囲気がそのまま部屋のテイストにも反映されます。
普通のクローゼットは洋服を横に掛けます。あれをどうしても縦にかけたかったんです。手前に掛ける服によって、部屋のテイストを変えられるのも気に入っています。白い服を掛ければ明るくなるし、ネイビーの服をもってくればシックにもなります
洋服でさえもインテリアの一部にできる「見せる収納」は、DIYならではの副産物です。
海外のアパルトメントを意識したベッドルーム
海外のアパルトメントや屋根裏部屋みたいなイメージに憧れてつくりあげたベッドルーム。ものをあまり置かず、シンプルにすることを意識しています。ベッドサイドにあるラダーラックも、plus9_lifeさんがDIYしました。
出しておいてもインテリアになるので、タオルなど頻繁に使うものをかけています
リビングは広々とした空間を意識
リビングでは、白い空間を生かすため部屋の中央に背の低い家具を置き、背の高い家具は壁際に置くよう配置しています。膝ぐらいまでの高さの家具を選ぶことで、空間が遮られず、部屋が広く見えます。中央に置いたローソファとローテーブルは食事する場所も兼ねており、生活の中心となっています。
ダイニングテーブルは置かない主義ですね。背が高い家具なので、一人暮らしだとどうしても空間が圧迫されてしまいます。ローソファとローテーブルで満足しています
照明はインテリアの中でも重要なアイテム
日本の賃貸は照明が明るすぎるので、そこを変えるだけでも部屋の雰囲気ががらりと変わるとplus9_lifeさんは言います。
レールを付けてしまえば、あとは自分で好きな照明を吊り下げられます
plus9_lifeさんは天井側にある引っ掛けシーリングにダクトレールを取り付けて、笠がないタイプの吊り下げ型ソケットを設置しました。
4.部屋づくりの過程
部屋づくりの過程1:キッチンを使いやすくDIY
plus9_lifeさんの部屋づくりは、キッチンから始まりました。収納が何もない状態だったので、必要に迫られてそこから取り掛かったそうです。
ディアウォールでつくった壁面収納は、はじめ背面に有孔ボードを取り付けていました。しかし、有孔ボードの穴が目立つこともあり、現在のように2枚の板を渡すだけのかたちに変更しています。
※以前のキッチン
いろいろなプロセスを踏みながら、改善していくことが多いですね。今は完成したと思っていますが、そのうちに変えたくなります
部屋づくりの過程2:趣味の道具を置く部屋をつくって生活空間をすっきり
キッチンの後はクローゼットやリビングの部屋づくりを進め、最後に登山用の道具やDIYの工具を置くための趣味部屋をつくりあげました。
リビング・ダイニングと分かれていた4畳半の和室に、養生を兼ねたクッションフロアを敷いて洋室にしました。ディアウォールで柱を立て、有孔ボードを壁に取り付けました
DIYを始めたきっかけとDIYの魅力とは
plus9_lifeさんがインテリア好きになったのは、中高生くらいの頃でした。自分の部屋をいじるのが楽しくて、高校生の頃は毎月模様替えをするほどハマっていたそうです。また、父親が美術教師で、いろいろなものをつくる姿を見て育ったこともあり、DIYすることに抵抗がなかったそうです。
キッチンの後はクローゼットやリビングの部屋づくりを進め、最後に登山用の道具やDIYの工具を置くための趣味部屋をつくりあげました。
DIYの魅力はやっぱり、自分の好きなサイズにできることと、色味や質感を選べることですね。市販の家具だと、ちょっとサイズが合わないとか、この色じゃなければいいのにな、ということが多い。最初から自分で決められるのは大きな魅力です
5.これから部屋づくりを始めたい方へ
現在の部屋に住んで5年目になるplus9_lifeさん。「DIYは終わりのない遊び」と話します。今後は床を変えたいとのことです。
モルタル調のクッションフロアを敷いていますが、これをアンティーク調のカフェみたいな感じにしたいです。もうイメージはあります
また、これから部屋づくりやDIYを始めたい方に向けて、「DIYには失敗がつきものだ」と話してくれました。
僕も、デスクは一回丸ごとつくり直したりとか、思い込みでサイズを間違え、組み立てたときに合わなかったりとか…失敗もDIYの醍醐味だと思って楽しんだほうがいいですね
また、テイストを大きく変える場合は、「木(インテリア)だけを見るのではなく森(部屋)全体を見ることが大事」だといいます。
インテリアからいじり始める人も多いと思いますが、そうするといつまでたってもテイストが決まりません。好きなものを集めるのとテイストを合わせることは必ずしも一致しません
部屋づくりをするのであれば全体を見るのがポイントとplus9_lifeさんは話してくれました。
【plus9_life さん】
年齢:40代
ブログ:PLUS9LOG
仕事:医療系のSE
間取り:50m2の広々とした1LDK