何かに夢中になっている人は魅力的です。たとえそれがいきすぎた愛だとしても。
抑えきれない愛を詰め込んだ部屋にお邪魔して、その人のこだわりのライフスタイルを探る企画「あの人の偏愛部屋」。
第2回は、シューズデザイナーテガキさんの「レコード愛が過ぎる部屋」です。
壁一面に並べられた大量のレコードと、音楽を聴くことを最優先につくられた部屋に、思わず感嘆の声が漏れてしまいます。テガキさんが特に好きなジャンルはダンスミュージック。その発祥の地であるニューヨークに関連する小物も部屋の随所に配置されていて、音楽とニューヨークへのリスペクトが感じられます。「好きなことを追求した結果、こういう部屋になった」と話すテガキさんに、レコード愛を大いに語っていただきました。
1.レコード愛のきっかけは父親
「僕の場合は、もはやレコードに取り憑かれていて……」と困ったように笑うテガキさん。3万枚ものレコードをコレクションしていたお父さんの影響もあり、物心ついたときからレコードに囲まれて生活してきました。テガキさんのレコード愛は、親子二代に渡る、まさに筋金入りの偏愛。
ジェームス・ブラウンをはじめとする伝説的なシンガーを知ったのは幼少期だそうです。家庭では頻繁に登場するシンガーの話題を、同世代の友人と共有することはかないませんでした。
レコードの魅力は、その時代の空気を感じられる点
1枚のレコードには、時代背景や当時の人々の思い、さらには制作に関わるプロたちの物語まで、多くの情報が詰まっている――テガキさんは、そう熱く語ります。
2.コンセプトは「ニューヨーク・音楽」
一番好きなジャンルは、曲にのって体を動かしたくなるようなダンスミュージック。テガキさんにとってレコードは、聴くためだけではなく、“創作する”ためのものでもあります。
また、テガキさんはHIPHOPとParadise Garageが生まれた都市、ニューヨークに強い憧れを抱いています。
照れ臭そうに話していましたが、大人になった今でもその思いは変わりません。部屋にはニューヨークへのリスペクトを感じさせる小物がそこかしこに置いてあります。
90年代、HIPHOPのニュースクールダンサーに愛されたラルフローレンとポロスポーツのライン。
その後、カニエ・ウエストが、2004年にリリースしたデビューアルバム『The college dropout』のジャケット写真でラルフローレンのポロベアーセーターを着用してデビュー。世界的なアーティストになっていきます。
レコード収納・スピーカー
音楽機材
3. シンガー、ミュージシャンへのリスペクトから生まれるクリエイティビティ
近年、YouTubeによって、山下達郎さんなどの日本のシンガーの存在が海外の人に知られるようになり、80年代の日本のレコードが爆発的な人気を呼んでいるそうです。
趣味でイラストを描いているテガキさん。なんと、大きなラジカセを白くペイントした上から、同じイラストを細かい部分まで模写したそうです。小さなラジカセ2つにも、ニューヨークの街並みを描きました。ニューヨークと音楽、そして吉田美奈子さんに対するテガキさんの愛が溢れています。
4.音楽は言語のよう……音楽でつながる仲間を招いて、パーティも計画中
レコードを暮らしに生かすポイント
音楽に限らず、ファッションやアートの知識も豊富なテガキさんは、その知識の源はレコードだと言い切っています。ときには、レコードのジャケットにある色の配列を、デザインの参考にすることもあるそう。
レコード愛で広がる輪
関西出身のテガキさんは、音楽好きの友人を集めるたこ焼きパーティを計画中。「何個入りのたこ焼き器を買おうか……」と悩む表情は、子どものような好奇心にあふれていました。
■プロフィール
テガキさん
Instagram:@show5orizinal
シューズデザイナー
東京都渋谷区