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古木の雰囲気をフル活用!世界でただひとつの建売住宅ができるまで|DIY PEOPLE vol.1

【DIY PEOPLE Vol.1】古木の雰囲気をフル活用!世界でただひとつの建売住宅ができるまで

「理想の暮らしは自分でつくる!」そんな熱い思いを胸に、DIYで住まいを編集していく“DIY PEOPLE”たち。
古民家、マンション、シェアハウス、賃貸など、さまざまな条件のもと自分たちらしい自由な暮らしを実践する姿をご紹介します。

オープンカウンターのキッチンが決め手になり、DIYすることを前提に新築の建売一戸建てを購入した高橋さんご家族。10年かけてDIYしたキッチンとリビング・ダイニングは圧巻!
レトロモダンが好きな高橋さんの一貫したセンスで、古木のかっこよさを十分に生かす落ち着いた雰囲気の部屋に仕上がっていました。

圧巻のDIYの数々

元は4LDKの建売一戸建て。リビングの隣にあった和室の壁を取り除き、畳をフローリングに変更。和室の押入れの扉を外して棚を付け、押入れ横に開口部を設けています(新築購入時に大工さんに依頼)。
奥行きのある押入れは“奥にぎゅうぎゅう詰め込んでものが取り出しにくくなるのが嫌だった”のでウォークインクローゼットに変更。開口部は既存の建具をリメイクして、レトロモダン風にアレンジしています。

ベニヤ板を濃茶に塗り、既存の建具にベニヤを貼り付けDIYしたビングルームの扉。すりガラス部分に木枠を入れてレトロモダンな雰囲気にしています。取っ手は、使い込まれた雰囲気の銅のものに変更。
人造大理石の天板の上に、白タイルを貼ったキッチン。“失敗したら取り返しが付かないかも…”と、DIYに取りかかるのに1ヶ月ほど迷ったそうですが、きれいな清潔感のある雰囲気に仕上がっています。
外からの目線を遮るため、ダイニングルームの窓にガラスシートを貼ってモールガラスに変更。100均で買った木材を白に塗った木枠を貼って、レトロな雰囲気の窓ガラスに代わりました。窓際に植物を並べれば、上から下まで自然に外からの視線が遮られます。安易にカーテンを選ばないのが、高橋さん流。
※このDIYは、結露がある場合は腐食の可能性があるためおすすめできません。高橋さん宅はペアガラスだったため実現できています。事前に自宅のサッシや窓ガラスの性能を確認してください。
写真左:建売戸建てによくあるのが、肌色に塗られた階段。蹴込を肌色から白に塗りなおして、階段を明るくしています。

写真右:洗面台の鏡と棚を味わいのある木枠に変更。既存の洗面台に付いている鏡と棚は、収納には便利だけれど殺風景になりがち。実は、この洗面台の上部分は簡単に取り外せます。高橋さんは、洗面ボウルから上を取り払って、バーンウッド2枚と庭に数ヶ月放置して古木風になった2枚を組み合わせて鏡をつくっています。鏡上の収納は、集成材をホームセンターでカットしてもらってDIYしたもの。

原体験は、おばあちゃんの家と木造校舎

高橋さんは、子どものころおばあちゃんの古い家で暮らした経験があるそうです。小学校の使い込まれて飴色になった床や廊下・手すりの木の質感が好きだったそう。DIYをはじめてから、和風・ナチュラル・ミッドセンチュリーと、いろんなテイストを試しましたが、最終的に原体験に近いレトロモダンに落ち着いたそうです。
レトロなものがたくさんあるリビング。テイストと色が統一されていて、ものの持つ格好良さが空間に出ています。

「古い家を購入してセルフリノベーションをしたかった」

高橋さんの最初のDIYは、子どもがキッチンに入ってこないように、独立型キッチンの入り口に、すのこでつくった棚を取り付けたこと。その後、テレビで100均の木や箱を使って棚をつくる番組を見て、リビングで実践しようとしたところ、壁紙の下が構造体になっていて釘が打てなくて断念したそう。

3人の子どもが生まれ、3LDKのマンションでは狭くなり引越しを考えたとき、セルフリノベーションのできる古い一軒家を探したそうです。

「学区を変えずに戸建てを探すと、駅近の物件は古くても高かったんです。予算的にリノベーション費用が出なかった。あと、古い家は虫が出るのが嫌なのも新築の理由です(笑)」

結局、オープンカウンターのキッチンがある建売一戸建てを見つけて、新築からDIYすることに決めたそうです。

「内見した時には、こうしたいというイメージがあったので、新築をDIYすることに抵抗感はありませんでした」
2つ並んだ開口部、向かって左側が少し狭くなっているのが分かりますか?ここは新築時には無かったもの。家事動線と風の通り道をつくるため大工さんに壁を開けてもらったそう。理想が思い描けていたら、新築でもためらないなくリノベーションすることができるようです。

「暮らしづらさを自分で解消したい!」

この取材で感心したのは、高橋さんが家族の暮らしづらさを見逃していないこと。高橋さんがDIYをする動機は「暮らしづらさ」に端を発しています。
「こうなったらもっと便利で良くなる」と感じることを、既成品ではなく、アイディアとDIYで解決していった結果、唯一無二の住まいが出来上がっていました。
料理がしやすいように収納棚が配置されたキッチン。家族の背丈に合わせた収納がされています。

気に入っている場所/失敗した場所/苦労した箇所

左:失敗かつ苦労したキッチンは今はお気に入りの場所/右:失敗したのは、ダイニングの窓に付けた木枠

写真左:元は人造大理石の天板でしたが、高温のものが直置きできず不便だったそう。また、もともとタイルのキッチンが好きだったので、2日間かけて人造大理石の上に白タイルを貼ったそうです。旦那さんは子守のため、タイル貼りは一人で。失敗したのは、大理石に接着剤を塗ってから20分以内にタイルを貼らないといけないのに、一人では20分でタイルの歪みを微調整する時間が無かったこと。結局、タイルに歪んだ部分のあるキッチンになりましたが、“それもDIYの味のひとつ”と考えているそうです。

写真右:サイズをはかって切ったつもりが、2センチくらい足りなかったそうで、後から付け足しています。

次にやりたい場所を聞いてみたところ、「トイレの扉のDIYを模索中」とのこと。古いお城の鉄扉みたいな雰囲気を考えているそうで、どんな材料と方法で実現していくのか楽しみです。

お気に入りの道具とよく使うお店は?

電動ヤスリ(サンダー)

よく使うのは、マルチツールという電動ドリル・ジグソー・サンダー・丸ノコのアタッチメントが付いているマルチ電動工具。タッカー(木用ホチキス)もよく使うそう。
使えるショップは、ホームセンターのカインズとドイト、アンティークなら大和駅の骨董市。

出番を待っているパーツたち

使い道が思いつかなくても、気に入って予算に合うものは買う。

「月に1度の大和駅の骨董市によく行きます。気になるパーツや小物はその場では使い道が浮かばなくても、予算に合う安いものであればとりあえず買って、DIYしたい時にそのストックから使います」

高橋さんは、お気に入りのものを見てDIYの発想をしているのかもしれません。好きなものを集めておくと、統一感のあるインテリアにも役立ちそうです。

「作り方は、インターネットの画像検索とDIYをしている人のブログや雑誌で調べます。DIY仲間と一緒に作ったり、得意分野で相談しあったりもします。あと、インターネットで最大まで画像拡大して確認したりもします(笑)」

高橋さんのお宅はここでは紹介しきれないほどたくさんのDIYがほどこされていました。残りは、「PHOTO&MOVIE」カテゴリでご紹介します。

HOME’S DIY Mag編集部の感想

梅ジュースの漬け方を教えてもらったり、庭のユーカリの葉をおみやげにいただいたりと、友だちの家に遊びに来ているようなくつろいだ気分になる楽しい取材でした。
住まいは居心地がいいのが一番。「失敗してもリカバリーすれば大丈夫だと思ってやっています」という高橋さんの言葉のように、細かいことは気にしないおおらかさも、DIY成功の秘訣かなと思いました。



■概要
・お名前:高橋香緒里さん
・家族形態:夫婦・子ども3人
・住まい形態:新築一戸建て
・間取り:4LDK
・DIYした場所:キッチン・リビングダイニングルーム
・かかった時間:約10年
・かかった費用:不明

文:石川歩/写真撮影:編集部